サカリ・オラモ指揮 ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団 初日 | たっちゃんの活動写真&西洋古典音楽切り抜き帳

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「映画館で」「自分のカネを払って」観る映画と「コンサートホールで聴いた」クラシック音楽会の、独断と偏見によるコメントを公開。


 猛暑と台風襲来に振り回された8月が終わり、早や9月になった。まだまだ残暑が厳しく、体感的には夏が続いているが、コンサート日程では“音楽の秋”がスタート。  

 そのトップを飾るのは、ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団。ノーベル賞の授賞式での演奏を担当することで知られるオーケストラだ。サントリーホールで3日連続公演が組まれており、好きなオケなので全部聴くことも考えたのだが、ドイツ物メインの重量級プログラムばかり。シベリウスでもやってくれると良かったのだが。

 結局、初日(9月2日)のチケットを買っておいたので、サントリーホールに向かった。この日のプログラムは、ムンクテルの“砕ける波”、ベートーヴェンの“ピアノ協奏曲第5番「皇帝」”、チャイコフスキーの“交響曲第5番”。

 今回の指揮者は、3月にBBC交響楽団でも登場したサカリ・オラモ。

 初聴となるムンクテルはスウェーデンの作曲家。“砕ける波”は描写音楽だそうで、確かにドビュッシーの“海”あたりと通じるところがある気がする。

続く“皇帝”のソリストは辻井伸行。変わらぬ人気ぶりで、満席となったこの日の聴衆の大半が彼目当てだろう。最近は逞しく成長していることを感じることが多いが、この日も力強いタッチでダイナミックな演奏を披露。強奏しても澄んだ響きが乱れないのがこの人の特徴で、北欧らしい端正でクリアな響きのオケとも相性がいい。実に明るく爽やかで心地よいベートーヴェンとなった。

 後半のチャイ5は、初めてこのオケを聴いた時の思い出の曲。指揮は、ゲンナジー・ロジェストヴェンスキーだった。マエストロが亡くなった年に、この曲をこのオケで再び聴くことになったのも何かの縁か。

 チャイコフスキーでも、泥臭さや渋み、内面の苦悩といった要素を見事に浄化して、クリアな美しい音楽として聴かせる。好き嫌いが分かれる面もあるが、実に心地よい音楽を堪能した。

 アンコールは“ハンガリー舞曲第4番”。ブラームスを演奏しても、このオケの澄んだ音色は変わらなかった。