東京オペラシティに出かけるのは久しぶり。この季節の恒例となった大型ツリーが輝いていた。
斬新な演奏を聴かせるという定評がある、パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィル。ベートーヴェン、ブラームス、シューマンと、これまでにチクルスを行ってきたが、今回のプログラムはそれらの混合だ。
まずは、ブラームスの“ハイドンの主題による変奏曲”から。ヤルヴィの音作りは、エッジを立てた演奏をするのが常という印象があるのだが、意外にもふんわりと柔らかなアプローチ。ヤルヴィのブラームスって、こうだっけ?と過去の演奏を思い出しながら聴いた。
続くは、ベートーヴェンの“ヴァイオリン協奏曲”。たまたまの偶然とは言え、この1ヶ月で3回目だ。諏訪内晶子、ギル・シャハムときて、今回のソリストは樫本大進。プロ・デヴュー時から聴いてきたが、二十歳そこそこの頃から、とにかく抜群の安定感と落ち着いた音色が持ち味だが、最近は聴く都度、風格を増してきた。さすがはベルリン・フィルのコンマス、ミスター・パーフェクトとでも呼びたい圧巻の演奏だった。
後半は、シューマンの交響曲第3番「ライン」。ここではヤルヴィ節が炸裂。
しかしながら、料理で言えば、気鋭のシェフによる創作料理みたいなもので、面白く聴けるものの、好きにはなれない。良し悪しではなく、好みの問題だ。
アンコールは、これまたヤルヴィ風味でハンガリー舞曲を2曲。