「わんぱく探偵団」DVD-BOX | たっちゃんの活動写真&西洋古典音楽切り抜き帳

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「映画館で」「自分のカネを払って」観る映画と「コンサートホールで聴いた」クラシック音楽会の、独断と偏見によるコメントを公開。



 以前の記事で触れた「想い出のアニメライブラリー」。第62集として、遂に待望の「わんぱく探偵団」が9月30日に発売された。早速、入手し、視聴しながらこの記事を書いている。

 DVD5枚組に、なかなか充実したブックレットが付いている。1968年放送のTVアニメだから、もうじき半世紀が経とうとしている。よく映像や資料が、良好な状態で残っていたものだと感心。

 製作は、虫プロダクション。初めて、手塚治虫の原作以外を手掛けた作品だそうだ。音楽が山下毅雄(1stルパン三世の音楽担当)というのも嬉しい。

 当時の小学生にとって、ポプラ社から刊行されていた「少年探偵団」シリーズは大人気だった。江戸川乱歩が創り出した、怪人二十面相ワールドを子供向けの語り口にした児童書で、もちろん全巻読破。何度も読み返した。

 その世界観を壊すことなく、TVアニメ化されたのだからたまらない。夢中になってテレビにかじりつき、放送の翌日は学校で感想を語り合った。

 今、観直してみても素晴らしい出来だと思う。もちろん、アニメとしての表現は拙いものだが、1話30分弱にギュッと凝縮された説得力ある内容は、当時の製作陣のレベルの高さを実感させられる。

 ダンディな明智小五郎、個性豊かな少年探偵団の面々、不気味な怪人二十面相のキャラデザインが、当時の子供たちのハートをガッチリと掴んだ。

 当然、モノクロ作品だが、改めて観ると一種の不気味さを助長する効果があることを再認識。さすがに録音の古さは否めないが、二十面相の声を担当した若山弦蔵の美声を堪能出来る。

 本作品以降、実写版ではさまざまな形で「少年探偵団VS怪人二十面相」が製作されているが、アニメ版は長らくなかった。それだけ、本作を超える作品を作ることが難しかったのではないだろうか。

 それにしても、再びこのような形で、幼少期の想い出に浸れるとは、いい時代になったものだ。