当画廊ので使用している椅子は、立軌会重鎮の武林敬吉先生が大磯のアトリエで使用していた椅子をくださったものです。
横浜の元町でオーダーで作ってもらったものだそうです。形状も美しいですが、見るからに使い込んだ感じが何とも言えなくいいです。私の宝物です。
先生は14年前に90才でお亡くなりになりましたが、生前大変お世話になった思い出がつきません。
先日先生の画集にも掲載されている作品を所蔵されているお客様が来廊され、しばし思い出話に花が咲きました。
とにかく品格のある先生でした。いつもやさしくにこやかで、威張ったところは全くなく、されど威厳があり、自然と背筋がのびてしまいます。作品も画品がありこれぞ油絵という重厚な作品でした。お弟子さんに対しても、いつまでも通わせるのではなく、もう教えることはないからというされ方でした。先生に伺うと、そうしないといつまでも一人前になれない。最初は下手な絵を描くことになるかもしれないけど、それを乗り越えないと自分の絵を確立できないということでした。本当に弟子の為を考えている指導だと思います。
思い出はいろいろつきませんが、最後に涙が出てしまった思い出があります。
或る時、しばらく先生がご来店されていないなと思っていた時、先生からハガキが届きました。
こちらがそのハガキです。
達筆だった先生の字が見るも痛ましい字でしたので、すぐ病院に駆けつけました。
ハガキには来年一月に退院予定と書かれていましたが、伺うととてもそんな状態ではないとわかりました。
付き添いの方が、入院していることをみんなに連絡するのを私が代筆して書きましたが、あなたと後お二人だけは自分で書くとおっしゃって書かれたのですよと言われ、涙が止まりませんでした。
その後、何度か仕事の帰りに夜間面会で病室を訪れお見舞いをさせて戴きました。
私は父が無くなる際、離れている為看病が出来なかったので、父親の代わりに看病しているつもりになって背中をさすったりして看病させていただきました。そうすることでいいお別れが出来ると思いました。
幼子三人を抱えて脱サラしてこの仕事を初めて家族には苦労を掛けていますが、こんな出会いの経験が出来たことは自分勝手ですが脱サラして悔いはありません。
こちらが武林敬吉先生です。
合掌




































