自動販売機
家の前、道の向こう側にある空き地に、1台の自動販売機がありました。
ちょうど、リビングの窓から見えるところに。
コカコーラ社の缶ジュースが1本100円ということで
いろんな人が、いろんな時間帯に、けっこう頻繁に買いに来ていました。
いちばんよく買っていたのは、近くの高校の生徒たち。
わざわざ車を停めて買っていく人も多かったし、
休日の朝早くに、クワを持って自転車に乗ったお年寄りとかも買っていました。
ぱっと買う人もいれば、さんざん悩んでから買う人も。
そして、そんな様子を見るのが楽しくて、いつも窓からこっそり眺めていました。
ガコンガコンガコンガコンという音が続けざまに聞こえてくると
見なくても、ああ補充しているんだな、とすぐに分かりました。
この自販機はとても人気があるらしく、
真夏には、補充から1日もたたず、コーヒーが売り切れていました。
しかし、
この自販機がある空き地に、新しくお店を建てることになり
数日前に、自販機は撤去されてしまいました。
どこにでもあるありふれた自販機だったけど、
いつも利用している人にとっては、たった1台の大切な自販機でした。
そして、私にとっても
見慣れた光景、ささやかな楽しみがなくなって、ちょっぴり寂しいです。
