二週間ぶりの更新です。毎週の更新が目標なのですが…。


今日はカップにまつわる思い出を書いてみます。


ロイヤル・アルバートの、

オールド・カントリー・ローズ(赤)と、

ムーンライト・ブルー(青)です。


食器に心癒されて-ロイヤルアルバート

イギリスの国花、バラがふんだんに描かれた、

優雅で、しかも親しみやすいカップだと思います。


10年以上前、横浜市内に内科医院を開業されていた、

T先生の奥様からいただいたものです。


サラリーマン時代、胃を悪くして、

親戚から知人のT先生を紹介してもらい、

何度か診ていただきました。


T先生には、会社を辞めて大学の試験を受ける際には、

診断書を書いていただきました。


無事、大学の編入を果たして、数年たってからだったと思います。

T先生が、ご病気で、ひどく悪いという知らせを受けました。


医院兼ご自宅に、お見舞いにうかがいました。

2階のベッドで、看病を受けられていたT先生は、

私の来訪に気づき、少し頭を持ち上げて、

こちらに目を向けられました。

顔と首は、すっかりやせ細っていましたが、

眼差しは、しっかりと私をとらえました。


何もおっしゃりませんでしたが、

「今日はどうしましたか?」

という眼差しのように思えました。


奥様が、お見舞いにきたのだということを伝えると、

また頭をもとの位置に戻されました。

奥様と少しお話をして、短い時間で失礼しました。


奥様から、お見舞いのお礼にと、後日届いたのが、

この2客のカップ&ソーサーです。


T先生は、しばらくして亡くなられました。


T先生に診ていただいたのは、数回でしたし、

お見舞いの時間も短かったのですが、

あの眼差しが、とても印象に残っています。

病床にあっても、医者としての眼差しを向ける、

プロの姿でした。


食器に心癒されて-ムーンライトブルー

このカップ、いつもはしまってあるのですが、

これを見ると、T先生と奥様のことを思い出します。






友だちのおみやげでウェッジウッドを手にした大学生でしたが、

自分で購入するのはまだずいぶん先のことです。


卒業して、サラリーマン生活を3年送ったのですが、

サラリーマン生活に慣れるので精一杯だったのか、

その間、洋食器に接することは少なかったように思います。


会社は3年で辞め、大学で勉強し直すことにしました。


少し気持ちにゆとりにできたせいか、

それから、洋食器への興味がだんだんと大きなものになりました。


写真がふんだんに使われた本を見つけ、

窯の名前や、シリーズの名前の存在を知ります。

本当にたくさんの窯、シリーズがあること、

そして、それぞれに長い歴史と物語があること。

食器の写真を見ながら、遠い異国の歴史に思いをはせることは、

楽しいひとときでした。



食器に心癒されて-洋食器カタログ


写真を見て気に入ったのは、

ミントンの、ディナスティーのカップ&ソーサー

ベルナルドの、ラーサのプレート

(のちに、代官山のレストランでを見て、いっそう好きになりました)

ジアンの、オワゾ・ドゥ・パラディのプレート

などです。

いつか欲しいなーと思いながら、写真をながめていたものです。


デパートの洋食器売り場で、実物の見学も楽しいのですが、

置いてある窯やシリーズが限られているので、少し物足りなく感じていました。


そのうち、輸入食器を安く売っているお店を数件見つけます。

銀座の並木通りのビルにあった、「イストワール」というお店は、

品ぞろえが豊富で楽しめました。

のちにハマるセーブルと出会ったのもそこでした。

残念ながら、お店はなくなってしまいましたが。


そのイストワールで買った

リチャード・ジノリの、ベッキオ・グレース vecchio grace 

確か自分で買ったはじめてのカップでした。



食器に心癒されて-ベッキオグレース


このシリーズ、大学時代の友人たちと、

広尾の「アンセーニュ・ダングル」という喫茶店に行ったとき、

ケーキ・プレートが出されて、心に残っていました。

優雅な形に、シンプルなグレーと、金。

華やかな絵付けが無くても、こんなに優雅なものがあるのか、と

驚きました。

前回、カフェ・ラ・ミルで出された、フロレンティーン・ターコイズに

目を奪われた、と書きました。


大学時代、経済的にまったく余裕のない生活だったので、

カフェ・ラ・ミルに行ったのは、卒業してからかもしれません。


そんな大学時代に、初めて手に入れたウェッジウッドは、

コロラドジェイドの、ティーカップ(ピオニー)です。



食器に心癒されて-コロラドとジェイド


手に入れたといっても買ったのではなく、

大学の友人に、イギリスのおみやげとしていただいたものです。

このときに、ウェッジウッド、という窯が

イギリスにあることをはっきりと知ったと思います。


やわらかい白磁の色、

大きく広がるカップの形、

優雅なカーブを描くハンドル、

ソーサーのしっかりした深さ。


いままで見たどのカップとも違うこの形に驚きました。


それに、このカップは、ついこの間までイギリスにあったんだ、

そして、今、ここにあるんだ、ということに、

わけもなくドキドキしたように思います。


それにしても、このような素晴らしいものを

おみやげにくれた友人には、感謝するとともに驚きました。


ちなみに、当時住んでいたのは、

6畳一間の和室、トイレ共同風呂なしのアパートでした。

このカップだけが、抜群に優雅な雰囲気をかもしだしていました。


ジェイドのソーサーの裏です。1991とあります。



食器に心癒されて-ジェイド裏