こんばんは。

今日はジュエリーの話から。


5~6年前頃、妻とジュエリー店を見てまわる楽しみを発見しました。
いろいろ見せていただいたり、つけて試させていただいたりしても、
必ずしも買わなくても大丈夫ということを知り、
ときどき見てまわるようになりました。


いわゆる有名なブランドには、
細工にとても手がかけられた美しいものがあります。
もちろん、それだけ高価ですが…


特に、すごいなあと思ったのは、
ヴァン・クリーフ&アーぺル Van Cleef & Arpels
ショーメ Chaumet
いわゆる、パリの5大工房 grand cinq のうちの2つですから、
すごいのは当然といえば当然ですが。


デザインを生み出す感性と想像力、
それを具現化する確かな技術、時間、労力。

美しいものを生み出すことへの並々ならぬ思い入れと、
それを可能にする文化のすごさを思い知らされました。


たとえば、ショーメのこのブレスレット。

やわらかさとリズムのあるデザインに心奪われました。



食器に心癒されて-リュバンブレスレット全体



食器に心癒されて-リュバンブレスレット部分


しかし、ジュエリーは女性が身につけるもの。
男性の自分が欲しくなって買うものではありません。
(それで出費せずに助かっているとも言えますが)


ところが、似たたたずまいをしている食器を発見してしまいました。
銀のスプーンです。



食器に心癒されて-兵隊スプーン全体

これは、フランスのピュイフォルカ Puiforcatという工房で作られた
アンティークのスプーンです。
銀に、金メッキを施したものです。

EPの刻印があります。


食器に心癒されて-兵隊スプーン刻印


「ぴゅいふぉるか」という耳慣れない語感。
ここが超有名工房であることを知るのは後のことです。


何か特別な目的で作られたものなのでしょうけれど、
細部にわたる手のかけようはすごいです。



食器に心癒されて-兵隊スプーン柄



食器に心癒されて-兵隊スプーン兵隊



「スプーン」という小さな食器の一つを、
これだけ手の込んだものにしようというその発想。
量産品に慣れていた私には、本当に驚きでした。


銀器…
陶磁器だけでも広い世界なのに、まだ未知の世界があるとは。

こうして、細工のきれいな銀のアンティーク・スプーンが、
手もとに一本ずつ増えていくことになるのでした。
(もちろん、出費とともに)



食器に心癒されて-スプーンケース


食器に心癒されて-スプーン柄アップ


‘美しい’ということに高い価値をおき、
技術、時間、労力を存分にかけて生み出されたものの、
確かな存在感を感じます。


銀のスプーンを手に入れたことで、
普段、あまり何も考えずに使っている食器を見直すようになりました。

もちろん高価なものを、そうそう買うことはできません。
しかし、普段使うものに意識が向いたことで、
‘生活の豊かさ’というものに目を向けることになったと思います。


いつも使う、小さな道具に意識を向けること。
それは、どんな仕事をするとか、どんな地位を得るとか、
そういうこととは違った方向から、
そしてもっと具体的に、
‘人生の豊かさ’というものに関わることなのでしょう。

あけましておめでとうございます。


今年もなんとか毎週末更新を目指したいと思います。
どうぞよろしくお願いします。


今日ご紹介するのは、セーヴルの花瓶です。

高さは、てのひらよりちょっと高いくらいです。


食器に心癒されて-クレールモンその2


紺色に小花の金彩、金の縁取り。
セーヴルというとこの色が有名です。


銀座ファイブのお店にディスプレイされていたのを見て、
その凛とした姿が気に入って購入しました。


とても品があるように思います。
また、お店のご主人もおっしゃっていたのですが、
絶妙な形だと思います。


あと少し、どこかが長かったり、膨らんでいたりしたら、
全体のバランスがずいぶん違ってしまうのだと思います。


シンプルな形ですが、見ていて飽きません。
普段飾っていて、時々花を生けています。


絵付けがなく、形だけで、うっとりさせられます。
理屈抜きで美しい。


食器に心癒されて-クレールモン花瓶


見ていると、緊張が解けて、呼吸も大きく、深くなります。
ほんとうに美しいものの力はすごいなあと思わされます。


そこで思い出すのが、
加藤ゑみ子著 『美的のルール』2003 Discover


美的のルール/加藤 ゑみ子
¥1,155
Amazon.co.jp

この本、「美しい」ということが、
豊かに生活する上で、

とても大切ですばらしい基準だということを教えてくれました。


地位が高い、お金がある、勉強ができる、
力が強い、高級品を持っている、などなど、
何かを選んだり評価したりするために、いろいろな基準があります。


こころ穏やかに、豊かに、平和に過ごすために大切な基準、
それは「美しい」なのではないか。


今まで、学校ではその事を教えてくれませんでしたし、
仕事をする上でもそれが重要だと思う機会はありませんでした。


学校や職場では、
人より努力している、人より優れている、求められる条件を満たしている、
こういう基準になじんでいました。

思えば、こういう基準は、自分をとても疲れさせるものでした。


「美しい」ことの素晴らしさ。
この花瓶を見ると、納得です。


1933年製。窯印です。

真ん中少し下の「f」が、年代を表しています。

このタイプンの窯印、1928年から順に、a,b,c・・・

と割り振られています。


食器に心癒されて-クレールモン窯印

前回の更新から10日以上あいてしまいました。

今年も無事に年末を迎えることができ、ありがたいです。


さて、古い順に、食器との出会いをたどってきています。

前回は、ヴィンテージのティー・カップでした。


アンティーク屋さんがある場所を知った私は、
ときどき、銀座ファイブの2階をのぞきに行きました。


また、『東京アンティーク・マップ』なる本を見つけ、
表参道のハナエ・モリビルB1Fや、
「銀座アンティークモール」に、
アンティーク屋さんがたくさんあることを知ります。


とはいえ、アンティーク屋さんはまだまだ敷居が高く、
ふらっと入っては、眺めて出てくる程度でした。


前回のカップを購入した、銀座の「グリシーヌ」さんは、
立ち寄ると、ご主人が、物にまつわる興味深いお話を聞かせてくれました。

あるとき見せていただいたのがこの絵皿です。


食器に心癒されて-sevres絵皿

セーヴルの窯印は、1888年のものですが、
検品で不合格だったようで、88の数字が削られています。


食器に心癒されて-sevres絵皿窯印

なんとも優雅な花の絵と、深い背景の色、
縁の大理石のようなデザインが気に入って、
思い切って購入してしまいました。


食器に心癒されて-sevres絵皿中央


食器に心癒されて-sevres絵皿縁


縁に小さいへこみがあるのですが、
そこが検品にひっかかったのかもしれません。
(写真は別の部分です)


花絵は、一部色が剥落しています。


食器に心癒されて-sevres絵皿花拡大



アンティーク駆け出しの私としては、
「絵皿」というのが、これまた知らない世界でした。

とくに、西洋の絵皿というと、
ずいぶんなお金持ちのお宅に飾られているもの…
というイメージでした。


手頃な大きさで、手に取ることもでき、
汚れても拭き取ることができる絵皿は、
いわゆる「絵画」よりも扱いが手軽で、
飾るのにとてもよいものだと思いました。
(お安くはありませんでしたが・・・)


このお皿、今から5,6年前、
職場を変えて、1,2年めくらいに買った記憶があります。
新しい職場に慣れ始め、
人生の新しい展開を感じていたころだったように思います。


もうすぐ新しい年が始まります。
来年も良い年になりますように。