今回は本の話です。

少し前に村上春樹さんが翻訳している小説を読んでました。
アメリカ人の作家マーク・ストランドの『犬の人生』という小説です。

これは短編集なのですが、実に素晴らしい。

著者マーク・ストランドは詩人であり、
アメリカの詩を語る上で欠かせない程、著名な方である。

実際幾度と無く彼の名前は聞いていたし、NY滞在中に
たまたま入った本屋で彼の詩集を買って読んでみたが、
当時の私には到底理解できないものだった。
使われている単語自体は簡単なものなのに、簡単が故、
その世界を頭に思い描く事が出来無かったのだ。

そうこうしている内に何となく彼への興味を失っていった。
今でも実家の押入れの奥にひっそりと眠っていると思う。

そして最近、ふらっと入った本屋で本書を見付けたのだ。

何より驚いたのは、村上春樹さんが翻訳をされていた事だ。
ここで何回も書いたけど、私は彼のファンである。
そんな彼が翻訳をしているマーク・ストランドの小説とは
一体どんな物なんだろう?と興味を惹かれて手にしたのだった。

重複するが、素晴らしいの一言である。
文章がきれまくっている。
小説家が書く文章ではないし、物語でもない。
もしかしたら奇抜さを狙ったシュールな作品と
思われるかもしれないが、そんなちんけな作品ではない。

確かに物語としては幾分頭を抱えてしまう所があるが、
それを気にさせない言葉の世界が作品を蔽いつくしている。

今ここにいたと思ったら、次の瞬間何万光年先の空間に
飛ばされてしまう。

言葉の力を教えてくれた一冊である。

是非みなさんにも読んで頂きたい。