これは夢の話。

僕は、顔も知らない人達と山の中を歩いていた。
それはとても長い山道で僕の前にも後ろにも
沢山の人が歩いている。

しばらくすると大きい広場のような空間が現れる。
広場の奥には間に合わせで作られたような
プレハブ小屋があり、その前には幾つかの長い机と
折りたたみの椅子があって簡単な受付のようになっていた。

広場には既に先に着いた人達が沢山いるのだけれど、
誰一人話をする者もいない。
黙々と誰かが来るのを、あるいは何かが始まるのを待っていた。

後ろの人達も次々と広場に辿り着いて、ある程度の
人が集まったところで、プレハブ小屋から黄色い
同じジャンパーを着た4,5人の係員のような人達が
それぞれ何かの書類や筆記用具などを持って出てきた。

その中の一人、30歳後半位の腕に腕章を付けた男が、
拡声器を手にすると、『皆さんお揃いでしょうか?
これから簡単に今回のサバイバルゲームの説明をします。』
と、説明を始めた。

ルールはいたって簡単だった。
6人1グループで山の中のアトラクションをクリアする事。
リタイアする人が一人でも出た場合、そのグループ自体が
リタイアしたとみなされる事。

しかしその説明で一つだけ気になる事があった。
それは『これは単なるゲームではありません。
みなさんの命をかけた大切なものです。』の一言。
誰一人質問する者も、困惑した表情をみせる者もいなかった。
それは既に分かっているといった感じだった。

男は終始笑顔で、とてもリズミカルにルール説明を終えると、
『皆さんご質問が無ければ、これから受付を始めます。
先程にも少し言いましたが6人1グループでこのゲームに挑んで
もらいますので、受付の際にグループ分けをします。』
と言うと、後の3,4人が簡易的な机に書類と四角い箱の
ような物を並べた。

受付が始まると、みんな緊張した面持ちで、列に並んだ。
その緊張感と、さっき男が言った『命をかけた』の一言が
訳も分からず参加した僕の不安をあおる。

僕の順番が来ると、やはり笑顔の係員の言われる通りに、
書類に名前などを書き、四角い箱からボールを取った。
僕は紫色のボールを引いた。
そうすると黄色いジャンパーを着た30代前半位の女の係員から、
紫色の布の真ん中に『3』と書かれたゼッケンを渡された。

再び男が拡声器で声をあげる。
『皆さん受付は終わりましたでしょうか?今お持ちのゼッケンが
皆さんのグループになります。さあグループ毎に分かれて下さい』

僕のグループには40代後半の男から、10代後半の女まで、
バラバラのメンバーが集まった。

また拡声器から男の声が聞こえる。
『これから実際にサバイバルゲームをしてもらいます。
くれぐれも事故やメンバー同士の喧嘩などしないようにして下さいね。
それではいってらっしゃい!』

男の喜びにも似た声色がやけに苛つく。


かくして、サバイバルゲームは始まった。

続く。