今回はちょっと病気の話を。私は30代から長く付き合っている病気があります。
乾癬(かんせん)という病気です。
医学的な言い方をすると慢性の皮膚角化症状をはじめとする全身炎症性の自己免疫疾患です。
具体的な症状として皮膚から少し盛り上がった赤い発疹(ほっしん)がいたるところにでき、その上に銀白色のフケのような垢(あか)が付着し、ポロポロとはがれ落ちる病気です。あまり知られていない病気なのでイメージがわきにくいと思いますが、ザクッと雑に言うとアトピーが思い切り酷くなったような皮膚の病気です。皮膚症状の見た目や現れる場所は人によってさまざまですが、頭皮や髪の生え際、ひじ、ひざなど比較的外からの刺激を受けやすいところに出やすいという傾向があるそうです。
「かんせん」という名前から「人から人にうつる」と誤解されやすいのですが、伝染性感染症ではないので他の人に感染する病気ではありません。触ったり、一緒に入浴してもうつることはありません。
ただ患者にとってかなり困るのは、瘡蓋やケロイドのようなものが全身に(顔も含めて)出ることによる見た目と、我慢できない痒み、剝がれ落ちるフケのように見える白い粉がいろんな場所に落ちてしまうことです。見た目に対する視線やいる場所を粉だらけにしてしまう懸念からが外出や仕事にも影響が出てしまいます。それが大変辛いです。知らない病気に対する誤解が生み出す偏見や差別があることも事実で、精神的にもかなりダメージを受けます。
原因としてはストレスや食生活、遺伝的要因などが言われていますが、完全に解明できていません。
そのため現時点では、特効薬というものもなく乾癬そのものを完治させるのは難しいですが、最近はさまざまな治療方法が開発されて、症状がほとんどない状態にすることも可能になっています。また、治療だけでなく、食生生活習慣の改善でも治療の効果が現れやすくなったり、乾癬の症状そのものが良くなったりするともいわれています。
治療方法としては、ステロイド外用薬、紫外線によるナローバンドUVB療法などが使用されますが、これらで治療不十分な場合は各種の免疫抑制剤である生物学的製剤が用いられます。
乾癬にも種類があり、私が知っているかぎり、最も患者の多い尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん、 psoriasis vulgaris: PV)、関節にも影響がでる関節症性乾癬(かんせつしょうせいかんせん、psoriatic arthritis: PsA)、膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)等があります。
明らかに難病現在、特定疾患・特定難病になっているのは 膿疱性疾患(汎発型)のみで医療的補助や配慮というものがなく高額な治療費においても患者を悩ませます。
私の場合は、皮膚の症状としては炎症が顔、首、背中、腰、お腹、腕、足とほぼ全身にでました。痒みとボロボロ落ちる皮膚の粉に悩まされました。最初ステロイド外用薬塗布による治療を試みていましたが、それほど効果はなく、尋常性乾癬から更に症状が進んで関節にも影響が出てくる関節症性乾癬になっていまいました。まず指の関節が腫れて痛み出し曲げるのが困難になり、関節の痛みは首、肩、腰、股関節に出て、一時は階段を上がれないほどでした。
たまたまテレビで生物学的製剤が用いた治療が紹介されていて一定の効果を上げていると知り、その治療が可能な病院を紹介してもらいすがる思いで病院に行きました。
そこでまた厳しい現実を知らされます。生物学的製剤なる皮下注射による投薬は1本何十万もし、高額医療制度を適用しても2~3ヶ月に打つとしても年間相当な額が必要になります。
悩みましたが地獄のような生活を抜け出せるならとこの治療を選択しました。
この療法は早い話、この病気は外からのウイルスなどを攻撃する免疫細胞が、暴走して正常な細胞まで攻撃してしまうことにあり、その免疫を抑制することで症状を緩和するということです。
種類は私が知っているだけでも下記があります。
・インフリキシマブ(商品名レミケード)キメラ型抗TNFα モノクローナル抗体
・アダリムマブ(商品名ヒュミラ)完全ヒト型抗TNFαモノクローナル抗体
・ウステキヌマブ(商品名ステラーラ)完全ヒト型抗IL-12/23p40モノクローナル抗体
・グセルクマブ(商品名トレムフィア)IL-23 p19
担当医の先生と相談してステラーラに決めました。
副作用としては肺炎や結核の既往歴がある場合、再活動化する可能性があるらしいです。
投薬の前に血液検査を行い数値を見たうえで行いますが、特に異常はなくずっと打てていました。
人によっては最初に打った時にアナフィラキシー等を引き起こすこともあると言われていましたが、私は大丈夫でした。他の治療で効果がない方が劇的な効果がみられたという先生の話を半信半疑で聞いていましたが、結果はその通りでした。足や背中、腰の一部を除き、皮膚の炎症が言わなければあまり気にならないレベルに一気に改善しました。
全力疾走や激しい運動も問題なくできます。温泉にも行きやすくなりました。
日常生活でも自分の病気を忘れるくらいだし、言わなければ、まわりの人も私がそんな病気を抱えることなんて気づかないくらい。
それから何年もこの治療を続けてきましたが、効果が頭打ちで残りの皮膚の炎症は消えず、薬の効果が切れて来るころ(1~2ヶ月後)にまた関節のこわばりがでたり、痒みや炎症が出たりしていました。
関節痛の方の抑制のためにメトレキサートという主に関節リュウマチに使われる飲み薬も併用しました。
一度、生物学的製剤をトレムフィアに変えてみましたが私には合わなかったようで、ステラーラに戻したりしながらやってきました。この前、担当の先生のアドバイスもありスキリージという生物学的製剤に切り替えたところ、残っていた皮膚の炎症もかなり消え、関節にもいい感じでした。
先生が「スキリージは、その効果からアメリカの医師からは別名スッキリEASYと呼ばれているというアメリカンジョークもあるくらいですからね」と言ってました。もちろんこの薬も、副作用がないわけではありませんが、今のところとくに体の変調がなく快適です。
いつかこの病気にかかる高額な治療費用が大きく軽減されるような難病指定や、もっと病気が解明されて完治できる特効薬が開発される日が早く来ることを願いながら、今を感謝して過ごしています。
乾癬に苦しんでいる方に私のケースですが少しの情報提供になればという思いと、この病気に関する一般の方々の理解を少しでも得られたら嬉しいという願いも込めながらこの記事を書きました。
この病気を理解し、いろいろ支えてくれた家族や知人に感謝しています。
それから乾癬と戦っている方々にはお互い頑張りましょうとエールを送りたいです。
長い個人的な内容の記事を最後まで読んで頂きありがとうございます。
部屋のアメリカンダイナー化計画の方は、天井にシーリングファンがつき、また一歩完成にちかづきました。