また一冊、本を読み終わりました。

 

『星のせいにして』(原題:『The Pull of the Stars』)

アイルランド・ダブリン生まれ、カナダ在住の作家エマ・ドナヒューの作品です。

 

 

エマ・ドナヒューは、映画化もされた『部屋』(原題:『Room』)を書いた作家さん。

監禁された母子の物語を描く『部屋』は、軽く読めるような作品ではないのですが、男の子の視点で描かれていた物語が、あるきっかけで急に開けて、読み手に全体像が見え始める展開がすごく印象に残り、

(内容の重さから、もう一度読みたいとは思えないのですが・・)

この時から、エマ・ドナヒューという作家に注目するようになりました。

 

 

そして、今回の『星のせいにして』です。

 

物語は、1918年、イースター蜂起があってから2年後、スペイン風邪が流行し、世界大戦も起こっているような時代に舞台が置かれています。

(これもまた『ベルファスト』同様、現在の情勢にリンクし過ぎる作品だったんです・・)

 

いくつもの事実をつなげたフィクションだというこの作品。

著者あとがきを読んで驚いたのは、2018年にはこの本を書き始め、2020年3月には原稿ができていたとのこと。(コロナがまだ蔓延し出した頃のこと・・日本語訳の本は2021年11月に初版が出ています。)

 

読み手は、この戦争とスペイン風邪のパンデミック下に置かれたダブリンの病院で、スペイン風邪に罹患した妊婦と看護師の3日間をじっと見つめていくことになります。

 

本を読むという行為について言うにはおかしな言い方ですが、読んでいる間ずっと自分が「前のめり」になっていたなと思います。

目で追わなくては物語は進まないのですが、文字が向こうから飛び込んでくるような感じ。

 

「切迫感」「焦燥感」・・そして「弛緩」「安堵」「悲しみ」

 

とにかく、ぐいぐいと引っ張られて一気に読めてしまう作品でした。

 

この本は4つの章で構成されるのですが、物語がまだ4分の1も終わらない頃、「チアノーゼ」の説明が出てきます。

血中に酸素が回らなくなってくるにつれ、患者の顔色が 赤 → 赤褐色 → 茶色 → 紫色 と変化していくという説明なのですが、

この時4つの章のタイトルを見てゾッとします。

章のタイトルは「赤」「茶」「青」「黒」・・。

 

この色の移り変わりは最後までついて回ります。

 

ただ、この黒の先に、看護師の決意と行動があり、少し救われるような作品でもありました。

 

 

・・と、語り出すと長くなってしまうにやり

 

 

また心に残る一冊になりそうです・・。

 

 

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そろそろアイルランド人作家の本のまとめもしてみたいニヤリ

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