<緊急案件が重なったら?> 
たびと トリアージとは,大規模災害時や伝染病大流行時に,医療関係者の人員や薬剤などのリソースが圧倒的に不足した場合,すぐ治療すべき患者と少し後でも大丈夫という患者などに分け,緊急対応度に色分けされた札を患者や負傷者に付けることです。
保品 なるほど。何度が災害訓練のニュースでそんな言葉を聞いたことを思い出しました。でも残っているのが保守の緊急案件ばかりだったり,あるメンバに緊急案件が重なった,またさにそのような場合はどうするのですか?
たびと その時は,私自身が決めた保守案件のトリアージに従い,私が支援や対応作業に入りました。具体的には緊急度の高い案件を私が分担したり,多くを担当しているメンバの担当案件の捌(さば)きをしたのです。緊急の連絡や「どうなっているんだ!」という対応フォローが多く実対応担当メンバに次々と入ってしまうと,担当者がその対応に追われて,保守作業対応そのものができなくなるを防ぐためです。
保品 次々入ってくる新たな緊急案件の状況を聞いている間に,対応中の保守案件の対応がどんどん遅れていくというやつですね。
たびと そんな状況でも担当者に任せっきりにして「何とか治まってくれないかなあ」と願うだけの,手が動かない管理者が多い組織は最悪ですね。
 
<誠実な対応の仕方は「まず謝罪」か?> 
保品 それってわが社のことですかね(笑) そうしますと,たびとさんは緊急案件が重なったとき「今は緊急案件が多数入っていて,対応に追われ,もう少し時間をいただきたい」と問合せ者にまずは謝罪をして,まず時間稼ぎをするのですかね(笑)。
たびと 「謝罪」? いえいえ,そんなことは基本しません。形式的謝罪だけでしたら,ヘルプデスクでもできますからね。そんな日本的な「まずは謝罪」メインの捌き方は,私に言わせればまだまだ落第点ですね(笑)。
保品 やっぱり,そのように怒られそうな気がしました(笑)。さて,たびさんはどんな捌き方をされるのですか?
たびと 相手にもよります。ただ,こちらの忙しいことを言い訳にすることはどんな相手に対しても基本しません。
保品 でも,実情は緊急案件に追われているのですよね。
 
<当事者であることを意識して事実を丁寧に説明する> 
たびと 言い訳をする暇があったら,問い合わせを受けた案件の対応状況を私は説明します。そのために,問合せ管理システムがあるのですから。
保品 例えば,どんな状況説明を?
たびと 「現在,詳細ログデータや関係データ○○の採取を顧客運用担当者に依頼中」「採取データの入手がすべて完了して,順次解析中」「一部標準ソフト○○の動きに疑義があり,当該ソフトのサポート部門に至急調査を依頼中」「直接原因○○によるらしいのですが,それを引き起こす根本原因が当該アプリとは別にあると考えており,その調査のための再現テスト準備中」など,事実に基づき,誤魔化さずに実際に対応し,検討している具体的なこちらの動きを丁寧に説明します。
保品 他の案件対応をそれ自体の対応が進んでいなくても?
たびと 対応スピード感が人によって大きく異なる理想値より遅いとか早いとかの説明に価値を私は感じません。そんな説明しても,早く対応してほしい一心の問合せ者の気持ちを変えさせることは難しいですからね。
保品 確かに,対応が遅れていることに対して,謝罪や言い訳をされても,対応に満足されることは少ないと僕も感じることが多いです。
たびと 事実に基づいた対応方針を具体的に説明するのと併せ,同時にしっかりした対応見込みを説明することで,問合せ者は安心してくれる場合が多いのです。
保品 それは何故なんでしょうか?
(16話につづく)