ストーリ-5の場面: 
たびとが下請けベンダの一員として駐在していた顧客のIT部門において,当時の新人メンバのひとりだった保品守(ほしなまもる)が,1年半余り前にたびとと話をしたが,改めて会いたいとの連絡があり,以前会ったカラオケボックスの小さな部屋で2回目の対話を始めた。 
 
<保品がチーム作りに悩む> 
保品 早速ですが,用件に入ります。1年半ほど前にお話を聞いて,自分が今担当しているソフトウェア保守チームの作業改善に取り組もうとしたのですが,なかなか思うようにいかない部分も多く悩んでいます。もう少し具体的な改善策について,助言いただきたくお時間をいただきました。
たびと ソフトウェア保守チームの作業改善がうまく行かないというお悩みをもつ保品さんは,保守作業を嫌わず,真正面からソフトウェア保守に取り組もうとされているからです。その悩みの発生自体は自然のことで,良いことだと思います。
保品 もっと楽に保守ができないか考えるのですが,たびとさんに参考にするよう教えてくださったJIS X0161規格のタスクを必要に応じて適切に行おうとすると,やはり今よりも作業工数がかなり増えてしまいます。
たびと なかなかそれを実施するための人員増強やプロセス整備の時間も別途与えられない状況ということですよね。
保品 その通りです。だから,限られた要員でそういった時間を作ろうとすると,対応すべき保守案件を減らすしかないのです。結局,発生頻度が少ないような案件やその後再発していないような保守案件として対応はにせず,見過ごそうという誘惑に負けそうになります。
たびと その誘惑に負けないで時間を作ることは本当に難しいことだと私も経験から同情しますよ(笑)。でも,それに負けてしまうとソフトウェア保守専任チームの評価は下がってしまいますよね。
 
<たびとはどうしたのか?> 
保品 たびとさんがソフトウェア保守専門のチームを立ち上げたとき,立ち上げに伴うリソース不足をどのように克服されたのかをお聞きしたいというのが,最初の質問です。
たびと 私の場合と,今の保品んが置かれている状況とは同じではないので,参考になるかどうか分かりませんが,努力したポイントをお話しすることは全然かまいません。そう簡単でなかったことだけは確かです(笑)。
保品 どんなチーム構成だったのですか?
たびと 私が担当していたシステムのソフトウェア保守を集約し,いくつか別れていたサブシステム別開発チームからメンバを出してもらい,立ち上げました。
保品 各メンバのそれまでの仕事はどうしたのですか?
たびと 保守案件は自分の担当・担当に関わらず移管可能な保守案件は移管してもらい,新規機能の開発担当部分は元のチームのメンバに引き去ぐ形でおいてきてもらいました。
 
<結局,メンバも案件も寄せ集め?> 
保品 来るメンバ以外が担当していた保守案件は適切に移管されたのですか?
たびと もともと適切に移管ができるとは思っていませんでした。今後,既存システムの機能に対する問合せ,クレーム,ヘルプテスクからのエスカレーションなどの窓口を当チームのメンバに変更しただけです。
保品 そんな移管状態では心配ではありませんか?
たびと ソフトウェア保守作業の移管や引継ぎは,そんなに簡単なことではありません。それも,移管元の管理レベルがかなり高かったとしてもです。このチームを立ち上げで,気心が知れた管理者の一人が私に言ってくれました。「口では言わないけれど,保守対応に困っているチームばかりだから,内心喜んでいるリーダは多いはず。ただ,..」とね。
保品 「ただ」の後の言葉が聞きたいですね。
(2話につづく)