<たびとの説明に不満を持つメンバが発言開始> 
たびと そこでこのチームに入ってしまったことにもっとも不満をもっていそうなH君が突っ込んできましした。多分,ソフトウェアの仕事について「保守中心の考え方」を持つ私が相当変わり者の人間だと周りから吹き込まれてきたのでしょう。
保品 たびとさんが変わり者であることは,私も全然否定しませんが..(笑)。どんなことをHさんは行ったのですか?
たびと 「担当分けをせず,チームの全案件をみんなで観ろということですか?  みんながリーダになれというのと同じじゃないですか?」と言ってきました。
保品 たびとさんは,多分「みんなが他と連携しつつ進めるリーダの意識でやってほしい」と仰ったのですよね。
たびと そんな意味のことを確かに言ったと思いますね。そしたら,H君は「それって,究極の労働強化だと感じますし,結局だびとさんが最も楽をしょうとしているしか思えません」と。
保品 かなりストレートな発言ですね。
 
<ようやく,不満表明が出てきた?> 
たびと H君のこの程度の言い方は全然もの足らないくらいですね。こういう不満や疑問に思う気持ち,公然と反論したい気持ちを溜めずに思ったときにすぐ言えるチームの雰囲気を私は目指していましたから。
保品 その覚悟が今の私に少ないということですね。そういった「ネガティブな発言が少ないほうが良い」とつい思ってしまう自分のやはりどこかにあるのでしょうか。
たびと 何も不満がないことに越したことはありません。でも,ソフトウェア保守を仕事の一部として兼任担当している担当者は,不満感を持っていないことがあり得ないと考えるべきだと思います。
保品 それはどうしてですか?
 
<保守作業には今だに市民権がない?> 
たびと 以前お会いしたときにもいいましたが,ソフトウェア保守作業の進め方,成功事例,保守で高評価を得るための達成項目などが多くのIT組織では明確に規定されていないからです。
保品 わが社は,あれから1年半経った今でも「保守はやって当たり前」の雰囲気があり,不満はたまりやすい状況に変わりはないですね。前回たびとさんとお話しする前の自分がまさに保守に対して不満だらけでした。
たびと 現状を正確に把握せず,頭の固い開発中心のパラダイムに侵された,または毒された人々が組織や業界を動かしている限り,そう簡単に保守作業の市民権は得られません。
保品 そのあたり,リーダになってしまうと,チームをまとめようとするあまり,発想が逆になるから不思議ですね。最初チームミーテイングの続きが聞きたいですね。
たびと 私は「Hさんがそう思うのも,もっともです。担当者割り振るだけでなく,その対応も細かく記録させ,さらに細かく指摘するなんて労働強化以外にないし,リーダは何をするのか?という疑問は当然です。よく言ってくれました」と反論はしませんでした。
保品 そして?
(11話につづく)