<まずメンバには保守は開発と異なる作業だと説明> 
保品 たしかに管理者になった人たちは,失敗や騒ぎに巻き込まれるのを恐れ,最初に細かいことに入り込まないようにしそうですね。だから,たとえやり方に疑問を感じていても結果が出るまで口を出さない傾向があるのでしょうか。
たびと そう。ただ,結果が出ても,良くない結果となると「犯人は誰だ!」「俺は疑問を呈していたのだ!」「責任部門に再発防止策を作らせよう」なんて,自分の立場を守るためにできるだけ部外者になるのです。
保品 確かに。では,そろそろ,どんなことを月曜日のミーテイングでされたかをお聞きしていいですか?
たびと 最初ミーティングでは,チームのミッションであるソフトウェア保守専門の業務内容(作業プロセス)について,開発とは異なることを説明をしました。
保品 ポイントは新規開発のことは忘れろということですよね。
 
<その後「困っていることは何か?」聞いた> 
たびと 少し表現は違いますが,どこでも教えていない新規開発にはない作業やスキルが必要で,対象ソフトウェアの作りの良し悪しが作業に影響し,そしてチーム全体での情報共有が重要など,このミーティングを継続することも説明しました。予想通りですが,メンバはおとなしく聞いてくれました。
保品 次はどんなことを?
たびと 最初の数回は,まずは今困っていることをメンバに順に聞くことにすると伝えました。今担当している保守案件だけでなく,自分に降りかかってくるかも知れない不安なものも構わないから出してほしいと。
保品 すぐメンバから出てきましたか?
たびと それなりに用意していたのか「チームのミッションイメージがわかない」「説明を受けた保守作業手順は作業負荷が重すぎるのでは?」「保守の作業続けていて,将来はあるのか?」「今の保守は基本他人が作ったソフトの尻拭いなのでは?」などありきたりの話はいくつかすぐ出ました。
保品 やはりメンバの方々は,保守に対してよいイメージを持っおらず,今まで我慢して作業をしていたのですね。
 
<J君が本音を語り始める> 
たびと ただ,出た意見に対して評論家のように批評したり,あるべき論を出すメンバも出はじめましたので,批評することは制止しました。「あるべき論の議論は,もう少しみんなの共通認識ができてからにしょう」ということで。
保品 意見の制止をすると,その後余計に出なくなるのではないですか?
たびと 確かに,その通りになりました。まだ他に不安に思うことはないかと何度か聞きましたが,10分くらい沈黙が続いたのです。でも,私は我慢しました。そしたら,一番無口なメンバJ君が口を開きました。
保品 どんなこといい始めたのですか?
たびと J君は「開発や保守の違いは考えたことが今までないので,よく分からない。でも,今までのよう個人の責任に任せるだけのような仕事のやり方が続くのではないかと不安だ」と小さな声でい始めました。
保品 ようやく作業の進め方や内容について本音の不安な気持ちを素直に述べ始めたのですね。それからJさんはどんなこと続けたのですか?
(8話につづく)