タイ国内には、戦時中における日本との関係性を深く理解できる観光地がいくつか存在しています。
タイで日本の艦船を見ることが出来る場所として有名なタイ海軍基地:プラジュンジョムクラオ要塞もその一つです。
艦船の名は、メークロン号。1937年、神奈川県横須賀市の浦賀で建造され、タイに納品された日本の艦船です。
タイが湾岸の警備用として日本に発注した軍艦です。全長85m、幅10m、収容人数52人の巨大軍艦であり、
1937年に建造されて以来、第二次世界大戦中も使用され1996年まで現役で使用された立派な戦艦です。
(2019年6月撮影)
陸上に展示されているメークロン号。
日本の横須賀港に展示されている戦艦「三笠」を思い出される方もいるかもしれません。
パクナムから渡し船での行き方はこちら
↓
渡し船のルートです。運行時間は朝4:20~夜21:20まで。約2.30分間隔で運行されています。運賃は片道5.5B
■バンコク市内から公共交通機関での行き方
市内からBTSでパクナム下車、パクナムから渡し船、渡ったところからソンテオというルートになります。
所要 片道1時間半~2時間は見ておく必要があります。
■渡し船での渡り方はこちらのブログにまとめています⇒ チャオプラヤー川河口パクナムの渡し船
船着き場からは赤線のルートで要塞行きのソンテオ(トラックの荷台)で向かうことになります。
(2019年6月撮影)
こちらのいすゞのトラックがプラジュンジョムクラオ要塞行きソンテオになります。
他にもピックアップカーのソンテオが止まっていますが、違う場所に向かいます。このトラックを探してください。
(2019年6月撮影)
運賃は8バーツ、乗車所要時間は15分~20分程度。
集金人が乗っていますので、プラジュンジョムクラオ要塞と伝えておけば、通りかかった時に教えてくれます。
(2019年6月撮影)
車内の様子。ソンテオは買い出しの住民の足です。終点の要塞までは誰も行かず、みんな途中下車します。
集金人以外、車内に誰もいなくなるかもしれませんが、不安にならず最後まで乗り続けましょう。
(2019年6月撮影)
要塞前付近です。ここで下車します。綺麗に整備された公園になっていますのですぐに分かります。
(2019年6月撮影)
道の反対側はこのような感じです。
(2019年6月撮影)
とても長閑な場所なので、野生の猿も道端に見ることができます。
(2019年6月撮影)
公園に着くとこのような感じで艦船が見えてきます。
(2019年6月撮影)
(2019年6月撮影)
戦艦の展示は地べたに展示されていますので、船底から取り外したスクリューと舵が周りに展示されています。
(2019年6月撮影)
舵は味のある形です。
(2019年6月撮影)
後方からの前方の眺めです。 固定されている階段から登って自由に見学することができます。
(2019年6月撮影)
船尾の様子です。
(2019年6月撮影)
艦船中央部から前方の眺めです。
(2019年6月撮影)
船底の機関室含めて6階建ての構造となっているようです。
(2019年6月撮影)
操舵室のある艦橋。
(2019年6月撮影)
船首と錨。
(2019年6月撮影)
水平線の真正面から見るとかなり迫力があります。
また、水に対しいかに抵抗が少ない構造なのかよく分かります。魚のボディと同じです。
(2019年6月撮影)
船首にガルーダ。タイならではです。
(2019年6月撮影)
ほぼほぼTの字型になっている選手付近を横から眺めます。
(2019年6月撮影)
艦船へのタラップが固定で取り付けられています。
(2019年6月撮影)
タラップを登るとこのような感じです。
(2019年6月撮影)
(2019年6月撮影)
登ってすぐのところに厨房があります。
(2019年6月撮影)
煙突の真横にある厨房です。機関の熱を利用する構造だったのでしょう。
(2019年6月撮影)
(2019年6月撮影)
機関の熱を利用して釜茹でにしていたようです。
(2019年6月撮影)
右舷から左舷へ繋がっている厨房。反対側にも釜があります。ここで大きな発見があります。
釜をよーく見ると、何か4文字書かれています!
釜に東京亀戸と書かれています。 東京下町の工場で造られた釜が設置されているのです!
結構感動します!
(2019年6月撮影)
通路の両側には部屋があります。
(2019年6月撮影)
52人乗りの戦艦。二人一組でこのような部屋に寝泊まりし、航海をしていたのです。
思っている以上に広く、ドミトリー生活に慣れている旅人であれば十分許容範囲です。
(2019年6月撮影)
室内に、洗面用の流しが付いています。
(2019年6月撮影)
階下へは立ち入り禁止となっています。
(2019年6月撮影)
こちらは幹部専用の食堂兼会議室です。
(2019年6月撮影)
レッドカーペットに重厚感のあるソファー。昭和のキャバレーみたいな感じですが、
室内の白と調和が取れているように感じます。奥が艦長の椅子です。
(2019年6月撮影)
艦長の席の前のテーブル上には艦船の写真や若かりし頃のプミポン国王とシリキット王妃の写真が飾られています。
また、手前には見学者が書き込める参観者ノートがあり、記帳することが出来ます。
(2019年6月撮影)
せっかっくなので記帳しました。艦長の席は一番奥ですので、そこまで見に来る見学者は少ないようです。
多くの人が記帳できることすら知らずに通り過ぎ去ってしまっているのだと思われます。
この記帳ノートは3年以上前の記録もあり、あまり書き込まれていませんでした。
(2019年6月撮影)
前国王夫妻も乗艦されていたのです。
(2019年6月撮影)
こちらは一般乗組員の食堂室兼娯楽室です。
(2019年6月撮影)
(2019年6月撮影)
船首付近です。灰色の回転式の支柱は真上にある艦砲のものです。
(2019年6月撮影)
こちらの艦砲です。
(2019年6月撮影)
(2019年6月撮影)
艦橋横に記されている艦船名:メークロン
(2019年6月撮影)
艦橋へ向かって階段を登ると意外と高さがあります。奥に見えている建物は海軍が経営するレストランです。
(2019年6月撮影)
艦橋に着きました。艦長(キャプテン)の椅子は当然左側にあります。
航空業界は全てこの海運業界の慣習に習っていますので、機長は左側の席となっています。
(2019年6月撮影)
海運業界は大型船になると船長が口で指示を出すだけで操舵は航海士任せです。
その為艦長の椅子の前はちょっとしたテーブルがあるのみ。コーヒーのマグカップ置き場でしょうか。
(2019年6月撮影)
(2019年6月撮影)
艦橋背面にあるのは配電盤でしょうか。
(2019年6月撮影)
(2019年6月撮影)
こちらがメークロン号の舵です。日本製を示すもの何かないか這いつくばって必死に探しました。
そしてとうとう見つけたのです。舵の支柱の足元(黄色い矢印の先)に楕円形のものが見えると思います。
これが日本製を示すことが刻印されたプレートでした。
(2019年6月撮影)
それがこちら。浦賀船渠株式會社製造と刻印されています。
本社:東京、工場:浦賀、横濱 昭和12年4月
調べてみると、この浦賀船渠株式會社、東京石川島造船所(現在のIHI)の浦賀工場を合併して、浦賀にも工場を
持つようになった経緯があり、新一万円札の肖像になる澁澤栄一とも深い繋がりがあった会社でした。
浦賀船渠株式會社: 公益財団 渋沢栄一記念財団のHPより。
(2019年6月撮影)
舵の上には伝声管(でんせいかん)。 パイプを使って声を伝える超アナログな通信装置です。
最上の場所にいる見張りとの通信に使われていたものと思われます。
(2019年6月撮影)
この最上の場所にいる見張りとの通信に使われていたのです。
(2019年6月撮影)
(2019年6月撮影)
これは方位を示すコンパス。下に圧力ゲージが左右に2つ取り付けられています。
(2019年6月撮影)
左側はイングランド製の圧力ゲージ
(2019年6月撮影)
右側はドイツ製の圧力ゲージ
(2019年6月撮影)
こちらも後付けのコンパスでしょうか?
(2019年6月撮影)
こちらはコンパスでした。黄色で囲んだプレートにしっかり刻印されていました。
(2019年6月撮影)
マグネチックコンパスとしっかり刻まれています。大阪の日本航海計器株式会社:1985年7月製造となっています。
戦前の艦船に、その後のアップグレードで日本製のものを取り入れてきた証拠でもあります。
(2019年6月撮影)
艦橋にあったチャオプラヤー川河口の海図です。座礁しないよう回り込まないといけないことがよく分かります。
(2019年6月撮影)
(2019年6月撮影)
通信室内の計器です。
(2019年6月撮影)
手動の照明。持ち手があります。
(2019年6月撮影)
(2019年6月撮影)
艦船内に売店があったりします。
(2019年6月撮影)
船尾デッキより見下ろす舵
(2019年6月撮影)
以上、メークロン号のご案内でした。
私たち日本人にとって戦前に造られた日本の艦船を見ることが出来るのはかなり貴重なことです。
Made in Japan イズムが散りばめられたメークロン号。
バンコクの観光ついでに、是非立ち寄られることをお奨めします。
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