前回は狭山丘陵北麓から北東へまっすぐ走る砂川を辿って、「さ」地名を見ました。
武蔵野台地は不毛の大地で弥生以降無人の時代が長かったので主要な神社も少ないです。江戸期に入って開発されてできた小さい村社は除いて、砂川沿いに神社を見ていきます。
■大井氷川神社・・・埼玉県ふじみ野市大井2丁目4
大井氷川神社は荒川の沖積平野ではなく武蔵野台地上にあります。
砂川の少し北に位置しています。
鳥居は砂川に繋がってはいませんが、明らかに砂川に向かっていますので大井氷川神社は砂川沿いに立地していると考えてよいと思います。
祭神はスサノオ、クシナダ姫、オオナムチ。江戸期に記録がある程度しか分かりません。
祭神は確かに氷川なのですが、整い過ぎだと感じました。中世以降のどこかでこの祭神セットになったんじゃないのかな、と感じました。
祭礼を見る限りスサノオ色が濃いです。
鳥居をくぐると
なんだかすごい狛犬です。
境内
拝殿
氷川なのに千木、鰹木がありません。
賽銭箱の神紋は大幡主
拝殿瓦の神紋も大幡主
本殿、覆われています。
覆われている本殿
千木、鰹木があるのかどうかすらわかりません。
では摂社、末社を見ていきます。
これは
稲荷です。
これは金山神社、金山彦でしょう。
荒川を北上してゆくにつれて金山彦が増えてゆくのでしょうか。
神明、天照。
雷というと崇神だと聞いておりましたが、これはどうなんだろう…
御嶽神社と高根神社
御嶽神社は大己貴命、少彦名命、国常立尊のケースもそれ以外のケースもあり何とも言えません。
高根神社は不明です。
これは
久田神社、祭神は不明
これは
右は八雲神社、スサノオ。
主祭神にスサノオが含まれているのに、なぜかこのようにスサノオが末社に下ろされているケースは中氷川神社でもありましたね。
左は三峰神社
奥秩父にある三峯神社には殷の鳥居(三つ鳥居)があります。殷の流れを汲む金山彦だと考えます。
本殿の祭神がスサノオ、クシナダ姫、オオナムチと作為的に感じる部分もあり、本来の祭神を考察します。
久田、高根は不明ですが、それ以外で考えるとかつての主祭神はやはりスサノオが該当するのかなと考えました。
スサノオが下ろされて次に金山彦が入ったため千木・鰹木が無いんじゃないか、と。金山彦は群馬からの影響力かもしれません。
その後中世になってスサノオ、クシナダ姫、オオナムチが上塗りされたんじゃないかな、と想像しました。
以上「さ」の要素はありませんで、むしろ古い時代にはスサノオが入っていた氷川系だったんじゃないかと想像しました。そこへ群馬方面から荒川を下ってきた金山彦が重なっているようです。
ここには武蔵大國魂神社の痕跡はありませんので、元々は氷川(後には金山彦)が管理する関所だったのかな、と想像します。