《1/21/2016》《259日目》@タンザニア キリマンジャロ登山
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キリマンジャロ5日目
バラフキャンプ(4,750m)~ウフルピーク(5,895m)~
バラフキャンプ(4,750m)~ムエカキャンプ(3,100m)
コースタイム:
バラフ~ウフル 23:40-6:30
ウフル~バラフ:6:45-9:00
バラフ~ムエカ:11:00-14:30
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22:40 ポーターの1人がテントに起こしに来た。
18時頃に寝袋に入ったけど、寒さとじんましんの痒さで全然寝れなかった。
かきむしったせいでお腹にはかさぶたもできてる。痕に残ったら嫌だなぁ。。
一向に開く気配のない私はの重たーい目と対象的に、ゆきちゃんはチャキチャキと準備を進める。
朝は強いし、ほんとしっかりした子だなぁゆきちゃんは。
紅茶とビスケットだけ口に入れて、23:40、バラフキャンプを出発した。
今日は星空が見えた。
ちゃんと星が見えたのはキリマンジャロに入ってからはじめてだ。
私のデジカメでは写真を撮ることはできなかったけど、寒い寒い空で光る星はすごくきれいだった。
雲もなくて、遥か彼方にモシの街も見える。
深夜なのにモシの街は明るかった。
意外と眠らない街なんだね。
昨日の夜と、今朝、オスマニからアタックをするときの注意があった。
上を見るな。
後ろも振り向くな。
ただ、足元を見ろ。
自分の歩く音を聞け。
ゆっくりゆっくり、休まず歩け。
自分を信じてついてくれば、必ず頂上まで連れてってやる。
なんてかっこいいこと言うの、オスマニ。
信じてついて行くよ。
時間は12時。
まだまだ真っ暗。
目指す方向にぼんやりと山の形は見えるけど、ゴールは見えない。
ゆっくりゆっくり、1歩の歩幅は20cmくらいだろうか。
1秒に1歩も歩かない位、ゆっくりゆっくり歩き出した。
足元はもう雪だ。
踏み込む度に、さくり、と音がする。
雪がある山で登山をするのははじめてだな。
いつもは自分で運ぶ水も携行食も今日は全部ガイドに持ってもらう。
私とゆきちゃんは、自分の体一つを頂上に運ぶだけだ。
スポーツインナー、フリース、ダウンが2枚、厚手のタイツ、トレッキングパンツ、厚手のパンツ、手袋、目出し帽、持ってる服のほとんどを着て来た。
フルもっこ状態。
どれだけ冷えるかと思ったら、寒さはない。
歩いてるうちに暑く感じるくらい。
ペースはとてもゆっくりだけど、一歩ずつ一歩ずつ、進んでいった。
星が綺麗だから上を見たいけど、視線を上げると、立ちくらみのように頭がくらっとする。
足元だけ見ろとオスマニにも言われたし、大人しく星空は諦めた。
5,000m過ぎたころ、息がいよいよ苦しくなっていた。
いよいよ、といってもゴールは5,800m、まだまだ先だ。
指先がしびれる。
唇もしびれる。
こめかみあたりがじんわりと痛む。
視界も狭い。
暑かったはずなのにいつの間にか寒い。特に指先。
視界が狭いのは、もしかしたら眠くて目を開けていられなかったのかもしれない。
眠いのか、寒いのか、高山病なのか、自分の体が何が理由で不調なのか、よくわからないまま足を進めた。
ヘッドライトの光がまぶしくて頭がくらむ。
ライトを消して月明かりで足を進めた。
色んなことが頭をめぐる。
色んな人と出会いがめぐりめぐって、今私はキリマンジャロを登ってる。
世界一周なんてしなかったら、キリマンジャロに登ることはなかったろうな。
晋平さんが登ろう登ろう言ってなかったら、登ってなかったかも。
たけむーさんが、ダナキルより絶景だったって言ってくれなかったら、登ってなかったかも。
モシに向かうバスでゆきちゃんに会わなかったら、登らなかったかも。
日本にいた頃、おっきーが山の楽しさを私に教えてくれなかったら、海外の山は素通りだったかも。
山をはじめ、外で遊ぶ楽しさを教えてくれたのはまるちゃんだったな。
まるちゃんも、おっきーも、会計士の勉強をしてなかったら出会うこともなかったな。
日本にいた頃によく山を一緒に登った同期は、私が会計士試験の現役合格を逃したからこそなれた同期なわけで、そう思ったら、なるべくして卒一合格になったのかも。
私が資格の道を歩もうと思ったのは、間違いなく親の教育が影響してる。
おもしろいように、全てが繋がってる。
私が今、キリマンジャロを登ったことで今後の私に何か繋がっていくんだろうか。
きっとそうなんだろうな。
全ての出来事は必然だなんて言うけど、本当だなぁ。
何も無駄なことなんてないんだろうなぁ。
山を登りながら、瞑想しているみたいだった。
心の深いところまで思考が及ぶ。
今まで何気なく過ごしてきた日々に色んな意味が加わって、感謝の気持ちでいっぱいになる。
ああ、息が苦しい。
体が重い。
歩いてどのくらいの時間がたったのか、
距離と高さはどのくらい残ってるのか、聞かないようにした。
気持ち良く、色んな考え事をしていたけど、だんだん頭が真っ白になってきた。
息が乱れる。
100m走でも終えたあとみたい。
一歩一歩の幅もだいぶ狭くなってきた。一歩で10cmも進んでないんじゃないだろうか。
体が重い。
まっすぐ歩けない。
酔っ払いみたいに、体がぶれる。
腰の曲がった老人のように、ストックに体重を預けて、何とか歩く。
膝の高さ以上に足をあげるのはつらい。
呼吸を整え、気合を入れて、手を添えて、ぐっと登る。
先を歩くオスマニが引き上げてくれた。
ゴールの一歩手前、標高5,756mまで3度くらい数分の小休憩を挟んだ。
その度に、ガイドの二人は背中をさすってくれて、こわばった肩や足をマッサージしてくれた。
ゆきちゃんは、私の体調を気遣ってくれて、マッサージを辞退。ガイド二人は私のお世話係になってた。
私はまだまだ大丈夫ー!とゆきちゃんは元気そうにしてたけど、後から聞いたら実は治りきってない捻挫を抱えていたらしい。
ゆきちゃん、男前すぎる・・・。
彼らは手袋をしてないのに、手袋をしている私の手をさすって温めてくれた。
そんな甲斐甲斐しく私をケアするガイドとしっかりなゆきさんを傍に、
腰を下ろすと、睡魔に負けそうになった。
当然、寝るな!とガイドにいなされる。
あーー。。。
わかったわかった、、
寝ないよ。。うん。。。
息も絶え絶え、体も満身創痍、ステラポイントにやってきた。
約1,000m登ってきたんだ。
オスマニが「you are my hero」と、私を労った。
こんなボロボロなヒーローがいるもんか。
それでもヒーローって言ってくれるんだ。
ここはまだゴールじゃない。
だけど
やばい。
涙腺がやばい。
腰を下ろした瞬間に涙が出た。
きつくて長い登りはここで終わり。
あと100mほど登ったら頂上のウフルピークだ。
たった100m
だけど、
登れる気がしない。
体はバキバキだし、呼吸は苦しいし、もう、ここまで来れただけでも十分なんじゃないかと思った。
もう、十分だ。
オスマニが言った。
さあ、行こう。休みすぎると体が冷えてよくない。
・・・・。
そうか、行くのか。
、、、、じゃあ、行くか。
諦めるでも、意を固めるでもなく、私はのそのそと立ち上がった。
粘り強さは、日本人の、私の、持ち味。
歩き始めてほんの10歩で呼吸が乱れる。
傾斜はゆるやか。
足へはさほど負担をかけずに歩くことができる。
幸い、吐き気や頭痛はない。
ゆっくり、ゆっくり、雪の道を歩いていった。
徐々に景色が明るくなってくる。
夜明けが近いんだ。
背後に太陽を感じる。
きっと、雲から美しい太陽が顔をのぞかせてる。
見たいけど、見たいけど、振り返るなとオスマニは言ってた。
日の出を見るなら山頂がいい。
そのまま、前を見て歩き続けた。
まだ、ゴールは見えない。
見えないけど、泣けてきた。
何で泣いてるのかわからなかった。
つらいのとも、感動してるのとも、違う。こみ上げてくるってこういうことを言うんだろう。
泣くと息が苦しくなる、堪えきれないけど、堪えながら、泣きながら歩いた。
氷河が見える、雲海が見える、恐ろしく空気が澄んでいる。
あそこだよ、オスマニが言った。
頂上を示す標が見えた。
もうあと、数10mでゴールだ。
涙が出る。
息が苦しい。
足が痛い。
ゆっくり、ゆっくり、
歩いた。
歩く先にはゆきちゃんとオスマニがいる。
標の目の前に、着いた。
頂上だ。
頂上で、オスマニが、また言った。
「You are my hero. Don¨t cry」
泣くななんて言われたら、余計泣けるじゃないか。
オスマニに抱きしめられながら、泣いた。
ここまでやり遂げたことに、ここまで積み上げてきたものが実ったことに、達成感と安堵と喜びがあった。
私はここまでスポーツで体をいじめ抜いたことはなかった。
体の限界のギリギリまで、戦い抜いたことが誇らしかった。
そんな気持ちで見る、氷河と朝日と雲海、は、最高に美しかった。
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