【怖い話】地獄の門へのお参り@トルクメニスタン デルヴェゼ | もしも会計士が財務諸表から離れて世界一周をしたら&その後

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仕事をやめて、世界一周の旅に出たときの記録と、その後の旅行の中で日々感じたことをつづってゆきます。
たまに旅人お役立ち情報があったり、なかったり。



《6/20/2015》《84日目》トルクメニスタン 地獄の門(ガスクレーター)


*****



目を閉じて想像してください。


ここは砂漠です。


といっても、神秘的な砂丘が広がっているわけではありません。


乾いた、とげとげしい植物がボツリボツリと根を張っています。


ボサボサと生える草や、膝丈程度の木のような植物など、砂漠の植物は意外と種類があるようです。




見渡す限りの荒野、太陽がじりじりと照り付けて、乾いた風が耳のピアスを揺らします。




風のヒュウッという音、

乾いた植物のカサカサという音、

羽虫が草木を揺らす音、

小さくピアスが揺れる音、

自分が砂を踏みしめる音、

自分の呼吸や鼓動、


聞こえるのはそれだけです。



これだけの音なのに


どこまでも続く砂漠のせいか


自分は世界に飲み込まれて消えてしまうんじゃないか、



そんな気持ちになります。






日が沈むにつれて、砂漠は熱気を失い、不気味さを増徴させます。



心なしか風が強くなったようにも感じます。


見通しがだんだん悪くなり、時折、乾いた鋭い草木がうっとおしく行く手を阻みます。


夜の砂漠は、より一層、静寂に包まれます。


風は変わらず吹いているのに、静寂そのものです。



なんて不気味なのでしょう。



もしかしたら、もう、自分はどこかここではないところに、飲み込まれているのではないか



あるわけもないことを考えてしまいます。




そんな砂漠の中を、1人で歩くということが、どれほど怖いことか。




砂漠というところが、どれほど人を無力にするか。





そんな砂漠を私は1人、2時間半、歩いていました。



生涯で死をもっとも意識した夜でした。






********




40年ほど前、落盤でぽっかりと砂漠に60mもの巨大な穴が生まれました。

穴からは高濃度の天然ガスが放出されていて、ガスの放出を止めるため、当時の人は火をつけることにしました。

ですが、火をつけたものの、天然ガスは止まることはありませんでした。

それ以来、砂漠の巨大な穴は炎を40年以上もともし続けていいます。

炎がガスを燃やし尽くすその日まで。



砂漠でゴウゴウと燃え続けるその穴は、不気味に美しく、「地獄の門」の呼び名を与えられました。



もの好きな旅人が、一目その姿を見ようと、 地獄参りを試みます。



私もそのもの好きな旅人の1人です。



今日は、そのもの好きの地獄参りの日です。



*********






この地獄の門は、デルヴェゼの道路沿いから東に2時間ほど歩いたところにあります。


「東に歩く」。

これが唯一のたどり着くための手がかりです。


なんと原始的なのでしょう。


(50$出すと車で行くこともできるそうです。)










ここを、ただ東に進めと。


コンパスを握りしめ、自分の影を目印にしながら、砂を踏みしめてゆきます。


GPSが機能せず、完全にコンパスと影頼りです。

あぁ、そうか、西日の時に東に向かうと、自分の影をおいかけることになるんだな。


今この砂漠には、私とこの影しかいない。


よろしく頼むよ、影。






静寂に耐えかねて、ところどころで影にテンションを上げてもらいます。



がんばるぜー

がんばるぜ、がんばるぜー





広い広い砂漠で1人。

影遊びでもして気持ちを誤魔化さないと、

怖いぞこのやろー!!!と叫んで気持ちを誤魔化さないと、

このままここに閉じ込められてしまうような気がしました。




あら、

私と影だけなかった。こんな可愛い生き物も。






あら・・・・。

私と影だけじゃなった。かつては生きていた物も・・・。




こんなに綺麗に骨だけになって、いつからここにいるんでしょう。

野犬にでもやられたのか

飢えと渇きに耐えられなかったのか


砂漠の死のイメージがさらに強まる。


私が今日死んだら、骨だけになるのにどれだけの月日がいるんでしょう。




怖い。


とても怖い。


怖いと聞いていたけど、やっぱり怖い。











追い打ちをかけるように、日が暮れ始めました。


影もすっかり背が高くなって、大事な相棒が今にも消えてしまいそうです。


もうすぐ歩いて2時間になります。


地獄の門の姿は見当たりません。



どこにあるのでしょう。


どこにあるのですか。



この砂漠は、小高い丘や小さながいくつかあります。

見渡しは必ずしもよくありません。


見過ごすしてしまうことも、あるかもしれません。




暗い方が見つけやすいと、聞いたことがあります。


でも、暗くなってから、このまま東に向かい続けてもいいのでしょうか。


通り過ぎているのだとしたら、このまま進むのは得策ではありません。


完全に日が暮れたら、それ以上東に進むのはやめよう。


残念だけど、ここまできて地獄の門が見られたないなんて残念だけど、


明るくなったら、チャイハナに戻ろう。



そう決めながら夕焼け砂漠を進み続けました。








さようなら、太陽。


さようなら、影。



心細い。



ここまで、来たのにな。



歩きはじめて2時間半、月明かりが砂漠を照らしはじめ、

私は諦めるための心の準備をしながら、

でも諦めたくなくて、近くの丘に登って、目を凝らして炎を探しました。


丘を登って、降りて、



諦められなくて



また登ったときです。











あれ・・・・・?






西の山のふもと、、、、少しだけ明るくないか・・・・・・?


夕焼けのとは別に、小さく赤い点が、、、、見えないか・・・・・・・?




自信は持てないけれど、ぼんやりと光るものがあるように見えます。


何せ1回目に丘を登った時は気が付かなったので、気のせいかもしれません。





でも、確かめずにはいられません。


月明かりの元、来た道を少しずつ戻ります。








もしかして、






もしかして・・・・・・・!







間違いない。あれだ。





足元の草木に攻撃されながら、足早に西に向かいます。


いつの間にか通り過ぎてたんだ・・・!

あの山は30分位前に横切ったやつだ・・・・・!














絶対にあれだ・・・・!!!!!!















間違いない、あれだ・・・・!!!!!!



安堵と恐怖が同時にやってくる。


良かった、見つけた。

地獄を見つけた。

























熱風が吹き荒れる。


不気味にも、力強く燃える火の上を、鳥や虫が舞う。


これを、見るために、トルクメニスタンにやってきたんだ。



砂漠の怖さとはまた違う、なんともいえない存在感に圧倒される。


穴に落ちれば、死ぬだろう。


何せ柵もない。


誰もいない。


穴の淵、自分の勇気が出せるギリギリのところに立ってみる。


熱風が、強くなる。






ゴゥッと、風にあおられる。


帽子をおさえる。


落ちたら死んでしまう。


しっかり立たなくちゃ。




なんて、こわいところなんだ。


なんて、怖いんだ。

ひたすら圧倒された。

目を開けていられない

汗が止まらない





妖しく、美しく、絶対的な地獄の門。


爆発、、、したりしないのかな。

突風で火柱が上がったりしないのかな。


落盤で更に穴が広がったりしないのかな。



怖いことばかり考えてしまう。



妖しく、美しく、絶対的な地獄の門。





この景色、一生忘れない。















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