水菓子
古くは、「くだもの」と「菓子」は、ともに「正式な食事以外の軽い食べ物」全般を指すことができることばでした。


 

つまり、果実類・菓子類・間食や、はては酒のつまみなどのことをひっくるめて「くだもの・菓子」と呼ぶことができたようです。


 

2つのことばの違いは、「和語(やまとことば)」か「漢語(漢字書き・音読みのことば)」か、という程度のもので、あまり意味の違いはなかったものと思われます。



 

水菓子と呼ばれるようになった由来と語源
それでは、なぜ果物のことを「水菓子」と呼ぶようになったのでしょうか。

時は漢字が日本に伝来する前まで遡ります。



当時は、植物由来の食べ物全般のことをすべて「くだもの」と呼んでいたそうです。弥生時代に入り漢字が伝来して、くだものには「果子」や「菓子」という字が当てられるようになりました。


 

そして中国から仏教が伝わってきた頃、穀物を加工して作られる、現在でいうところのお菓子にあたる「唐果物(からくだもの)」も持ち込まれました。

 

この頃にはそれら唐果物などを含め、正式な食事以外の食べ物のことを「くだもの」と呼んでいたのだとか。


 

さらに時が進んでいくにつれ、それぞれの呼び方が変化していきました。江戸時代には砂糖や小麦粉などを使用して人の手によって作られる甘い食べ物のことを「菓子」、果実類のことを「水菓子」と区別して呼ぶようになったのです。

 

ちなみに果実類の呼び方は地域によって異なっていたようで、現在の京都やその周辺を指す上方では「くだもの」、江戸では「水菓子」と呼ばれていたのだそう。水菓子とは、主に江戸で使われていた呼び方だったのですね。

 



現在は全国的に果実類のことを「くだもの」と呼び、水菓子と呼ぶことはあまりありません。一方で、最近は水ようかんや水まんじゅうなどのことを「水菓子」と呼ぶことも多くなってきましたが、前述の通り誤用とみなされることがあります。


 

生菓子ってどんなもの?
水菓子の由来を知ったところで、続いては水菓子だと思われがちな水ようかんや水まんじゅうといった「生菓子」の特徴について軽くチェックしてみましょう。

和菓子は、水分量によって生菓子、半生菓子、干菓子に分けられます。
ここではさらに氷菓子についても触れているので、あわせて参考にしてみてくださいね。



 

生菓子
和菓子において、水分量が30%以上含まれているものが「生菓子」です。

主に大福や団子、どら焼き、おはぎなどがこれに当たります。餅やあんこが使われていることが多く、やわらかくしっとりとした食感のものがほとんどで、あまり日持ちしないのが特徴です。


 

半生菓子
水分量が10〜30%の和菓子を「半生菓子」と呼びます。

代表的なものには最中やようかん、甘納豆などがあり、小さいサイズのものが多いようです。ただし、ようかんなどは作り方によって水分量が変わるため、しっかりと練られたものだと半生菓子になりますが、生菓子に分類されることもあります。


 

干菓子
「干菓子」は水分量が10%以下の乾いた和菓子のことで、落雁や煎餅、八ツ橋、金平糖などが該当します。

軽い食感のものが多く、日持ちするのが特徴です。


 

氷菓子
「氷菓子」とはその名の通り、かき氷やアイスキャンディー、シャーベットなど、それぞれ糖蜜や果汁などを混ぜ合わせて凍らせたもののこと。


 

乳脂肪分を含んだアイスクリームなども氷菓子に含まれることがあります。

ちなみに、冷やした状態で提供されるお菓子の総称は「冷菓」と呼ばれ、これには上記に挙げた氷菓子のほか、ゼリーやプリン、パフェなども含まれます。


 

これが江戸時代ごろになると、「菓子」ということばが「人が手を加えて甘く作った食べ物」のことだけを限定的に指すように変化しはじめます。

いっぽう果実類を指す場合には、上方では「くだもの」、江戸では「水菓子」ということばが使われるようになったようです。 


 

現在では果実類を指す場合に、全国的にも「くだもの」と言うことが多く、「水菓子」とはあまり言わないのが実情です。 

なお本来の意味とは別に、一部の業界では、水ようかんやくずもちなどの総称として「水菓子」ということばを使う場合があります。


 

ただし、これはあくまで専門分野での使い方だと心得ておいたほうがよいでしょう。
 
なお、最近よく使われる「スイーツ(スウィーツ)」ということばは、お菓子(甘いもののみ)・デザート・ケーキ・和菓子などをひっくるめて指すことばです。


 

現在「お菓子」と言うとポテトチップスなどのスナックも入ってしまうし、また「デザート」と言うと食後に限定されてしまう、などということがあって使われるようになったのでしょう。