200万年前の海底地すべりが地表で露頭
安房グリーンラインは、野島埼灯台のある房総半島南端の白浜地区と、富津館山道路富浦ICを結ぶ最短ルート。

 


 

全長16kmの農道(安房地域広域農道)ですが、観光ルートとしても使える道です。

 

南房総へのドライブの往復に活用できる道ですが、富浦ICから18km、白浜から2kmのポイントにあるのが、この「大規模海底地すべり構造」。



「地震による海底地すべりの堆積機構を観察できる貴重な露頭」とのことで、露頭保存の取り組みで森林総合研究所森林農地整備センターと南房総市は、地質学の普及と今後の発展に貢献するものとして、平成23年9月、日本地質学会から表彰を受けています。


 

「海底地すべり」とは、海底の斜面に貯まった堆積物が地震で液状化し、斜面をすべり落ちる現象。


 

地層自体は、第三紀鮮新世から第四紀更新世(およそ400万年~100万年前)に堆積した千倉層群・畑層の砂岩泥岩です。




200万年前に巨大な津波を引き起こすほどの巨大な地震が発生。海底で地すべりが発生。

 

 

地層が分断され、回転して複雑な様相を呈します。

 


 

大正の関東大地震(1923年)、元禄地震(1703年)、明応関東地震(1495年)、永仁関東地震(1293年)など過去数百年ごとに発生している大地震によって隆起が繰り返されて、地上に現れたもの。


 

房総半島の沖合はフィリピン海プレート、太平洋プレート、ユーラシアプレート、北アメリカプレート4つのプレートが重なり合う複雑な構造の相模トラフが通る場所。地殻変動の激しい場所で、隆起のスピードは、7000年に35mと世界屈指なのだとか。
 

 

大規模海底地すべり地層
安房グリーンライン白浜トンネル北入口の路側にある地層の露呈。
平成22年4月に開通した安房グリーンラインの工事により発見されたもの。



第三紀鮮新世から第四紀更新世(およそ400万年前~100万年前)に堆積した千倉層群・畑層の砂岩泥岩の層で、200万年前に起きた大地震によって液状化し、「海底地すべり」を起こして堆積したもの。


 

「海底地すべり」とは、海底斜面に貯まった堆積物が地震などを引き金として斜面をすべり落ちる現象。

 

大規模海底地すべり地層は、地層の状況から、地すべりの規模が大きく巨大な津波を引き起こしたものと推定されています。

 


 

もともと海底の1500m〜2000mの深海で、巨大地震によって砂層が液状化し、広範囲に海底斜面で地すべりが発生。
 

 

半固結状態であった地層が地すべりによって分断、かき回された状態となり、全体として混沌とした乱堆積層となっていることが断面からよくわかります。


 

海底にあった地層が数百年ごとに起きる大地震で隆起して地表に出現したもの。

隆起するスピードは7000年で35mと推定され、世界屈指の隆起スピードになっています。