ボロス島のタコ料理
港の海岸でとれたてのタコを生きたまま炭火焼きドラム(ドラム缶を半分に切ったコンロ)で豪快に焼くのである。


 

南欧・地中海沿岸地域(スペイン、イタリア、ポルトガル、ギリシャ、プロヴァンス地方などフランス南部の一部、トルコ、チュニジア、エジプトなど)ではタコを伝統的な食品としている。


 

古くから食用とされ、古代地中海では外套膜に薬味を詰めてパイのように焼く料理が食べられ、鉄の臭いを避けて鉄のナイフが使われなかったという記録が残っている。

ギリシャ等の正教徒の多い地域の場合、東方正教会では斎の間は肉を、大斎の際には魚をも食べるのを禁じてきたが、タコやイカ、貝類などは問題が無いとされてきたため、これらを使った伝統料理が多い。


 

特にペロポネソス半島のギシオは「ギリシャのタコの都」とも称され、レストランの店先の綱にタコをぶら下げて干しダコを作っている様子がよく見られる。

ギシオではトマトやチーズ、ハーブとともに一口大に切ったタコがギリシャ風サラダにして食べられることもある。

 

東地中海ではメゼとしてグリルしたタコの腕が出され、ギリシャではフタポディ・スティ・スハラと呼ばれる。




食文化と調理法
タコは手近で美味なタンパク質の供給源として、世界各地の沿岸地方で食用とされ、特にアジアや地中海では古くから定番料理として供される。



 

日本、イタリアやスペインなどの地中海、ポリネシアを除いてはほとんど食べられないとする文献もあるが、実際は多くの国で食べられている。

一方で、ユダヤ教では食の規定カシュルートによって、タコは食べてはいけないとされる「鱗の無い魚」に該当するなど、禁忌とされている地域もある。


 

タコの身85gは139calと低カロリーで、脂肪は鶏肉では3gなのに対し、タコでは2gしかない。タンパク質は25g含み、全体の約20%である。


 

鉄分は1日の摂取目安量の45%、銅も1日の摂取目安量の19%であり、それぞれ6%と3%の鶏肉を大きく上回る。ビタミンB12に関しては1日の摂取目安量の510%に達する。


 

また、特にタウリンが豊富であるとされる。ただし、茹でて食べるとタウリンが茹で汁に溶出してしまうと言われる。亜鉛も多く含む。イカに多く含まれるグリシン、アラニン、プロリンなどの甘味成分は少ない。


 

タコの絞め方は地域によって異なるが、主に脳軟骨を破壊することによって行われる。


 

日本では胴を掴み、眉間に手鉤や目打ちを打ち込んで絞めることが多い。ただし北海道の市場では、ミズダコやヤナギダコは氷水に漬けて絞める。

スペインのガリシアではタコの口に白いプラスチック製の長い棒状の道具を差し込み絞める。イタリアのプッリャ州やキリバスのギルバート諸島では、頭を嚙んでタコを絞める。


 

身は噛み切りにくいことから、日本では歯のない人は食べるのを苦戦するという意から「歯なしの大ダコ」という表現が知られる。

そのため、様々な地域で叩いて柔らかくして下処理されてきた。昔ながらの方法は形がなくなるまで岩に叩きつけるという方法で、スペインのビーゴではタコを捕まえると「石で30〜40回叩くべきだ」と言われる。


 

また、日本では「女と蛸は叩けば叩くほどよくなる」の言い回しが知られ、ダイコンで叩いてタコの筋線維を切るとよいとされる。

業務用のタンブラーを用いて機械化されることもある。近年では冷凍技術が普及し、凍結により細胞組織を破壊することで身を柔らかくすることも多い。


 

また、表面のぬめりを取り柔らかくするために、塩もみをして下処理される。調理の際、「砂ずり」と俗称される腕の先端は切り落とされることもある。ここには毒が含まれるという俗説があった。


 

タコは加熱調理されることが多く、多くの種は茹でると鮮紅色を呈する。茹ですぎると固くなるので、手早く茹でるべきだとされる。

また、日本酒に漬けておくと茹でた後も柔らかいままとなると言われる。また、茹でる際番茶の茶葉をひとつまみ入れると臭みがとれるとされている。

ほかにも、柚子の皮、酢、重曹、ハマグリの殻、甘草なども効果があるとされる。