文豪の宿

三島由紀夫が新婚旅行に訪れたり、志賀直哉、谷崎潤一郎などにも愛され、文豪が執筆のため長期に滞在した記録も多く残されているようです。



 

平成11年(1999)に旅館の経営母体が破綻しましたが、市民の保存運動が効を奏して 翌平成12年(2000)熱海市がこれを取得し、一般公開されるに至った次第です。

 

 

現在、「麒麟・大鳳の棟」、「孔雀の棟」、「玉姫・玉渓の棟」、「金剛・ローマ風浴室」の4棟と入口の薬医門が熱海市指定有形文化財として登録されています。

 


 

日本の伝統工法による2階建ての和館、ヨーロッパの貴族の館を彷彿させる洋館、旅館に転用したときに建てられた和室など時代や様式の異なる建物が日本庭園を数珠繋ぎのように取り囲んでいます。

 

 

一歩外に出ると、車の往来する通りですが、根津嘉一郎が自ら指揮して運ばせたという「根津の大石」の鎮座する庭園を歩いていると、緑も豊かでとても熱海の街中とは思えない雰囲気です。


 

5.訪ねてみたい「旧日向別邸」  
  


 

熱海市はこの「起雲閣」に続き、「旧日向別邸」も取得して、2005年から一般に公開(予約制)しています。

 

 

これはドイツ人建築家ブルノー・タウトが設計した日本でただひとつ現存する建物で重要文化財に指定されています。

 

 

タウトは、桂離宮と伊勢神宮の建築の美しさを初めて評価したことでも知られ、日本の文化を愛し「日本美の再発見」の名著も残しています。

 

 

「旧日向別邸」は熱海駅からもさほど遠くない相模湾を望む高台にあります。ちょっと判りにくいところで車では行けませんが、「起雲閣」とともに、一度は訪ねたいところです。