静岡紀行 三日目 建造物

 

2号高床倉庫
平成12年の再調査で発見された。

 

 

6本柱の高床倉庫跡。柱間は3.9m×2.3m、床板までの高さは推定で1.3m。穀物類の保管を目的とした建物である。

 

 

高床倉庫は、収穫した稲などを保管しておくために建てられました。湿気を防ぐために、地面から1.3mの高さに床を上げ、床と柱の間にはネズミ等の侵入を防止するための板「ネズミ返し」が挟み込まれています。


 

↑ 高床倉庫(六脚倉) ↓

倉(そう・くら。穀物を蓄えておく方形(四角形)のくら。また、物を入れておく所)
 

遺跡内には、現在までに9棟以上の高床倉庫があったことが分かっています。

 

 

高床倉庫(四脚倉)

倉庫の規模により支柱の数が増減します。

 

 

ねずみ返し
穀物などの食糧をねずみの被害から守るために、船舶の舫い綱や、倉庫などの貯蔵施設に取り付ける、ねずみ侵入防止用の器具のことである。

 

高床倉庫では、床を支える柱からのネズミの侵入を防ぐために、オーバーハング状のはい上がり防止の部材を付けた。


 

この種のねずみ返しはヨーロッパや東南アジアなど世界各地の穀物倉庫に見られ、日本では東京都の有形文化財である高倉(六脚倉)など、八丈島に現存する高床建物でも、同様のねずみ返しが見られる。


また、ネズミの爪が立たないように陶器などの部材を使用する場合もあり、奄美地方の高倉では柱に金属板を巻く工夫が見られる。

高床ではない土蔵などでは、戸口に網戸を入れたり、板を立ててネズミの侵入を防いだ。 新潟県では、梁などから縄で下げて食料を保存する場合、縄の中途に板を通して鼠害を避けた。



考古資料では、高床倉庫の床下直下の柱の上方や倉の入り口に設けられ、方形、円形、楕円形の厚い板をはめ込む事例がみられる。弥生時代の登呂遺跡で初めて発見された円盤状の板が著名であり、静岡県伊豆の国市の山木遺跡では、その使用方法が明らかにされた。

民俗資料では、板材のみならず樹皮や土器などさまざまなものをねずみ返しとして使用している事例が確認されている。

 

 

登呂遺跡2号住居

昭和25年に発見された住居跡を復元

 

 

上屋は4本の柱で支え、床の中央に炉を設けている。
周堤は盛土され、内側に羽目板をめぐらす。

 

 

廃絶後の状況を示す住居跡

2号住居前にある窪みが廃絶後の状況を示す住居跡である。

 

 

柱や梁、羽目板、屋根などの上屋の構造材を取り去った住居跡。

 

 

 

環状に盛土された周堤と土留めの板材、床面には抜き去られた柱の跡を再現している。