土瓶蒸し
土瓶とは、日本の伝統的な食器の一種です。
陶器製であれば、直接火にかけることができる物もありますが、磁器製である場合は直接火にかけず、急須のようにして使います。




一般的な土瓶の形状としては、湯を溜める胴部に注ぎ口が付いていて、その肩の両側に耳をつけ、両耳の間に弦をかけ渡したところを持ち手とします。


 

胴部本体の上に持ち手がくることから、上手(うわで)と呼ぶそうです。持ち手は、胴部と一体となっている陶磁器製のものもありますが、熱を伝えにくい別材が使用されていることが多いのです。

 

土瓶は、蒸し料理の土瓶蒸しにもよく用いられています。

 


昔は、土瓶と言えば生活用具の一つとして欠かせない食器でありましたが、最近ではアルミ製やステンレス製といった金属製のやかんの普及に加えて、魔法瓶や電気ポット、ペットボトル入りの茶製品が普及したことにより、土瓶の需要は大幅に減少しました。

 

 

土瓶蒸しとは、土瓶を使って作る蒸し物のことを言い、中でも「まつたけの土瓶蒸し」が代表的です。

 

まつたけの土瓶蒸しには、まつたけをはじめ、白身魚やえび、鶏肉、みつば、ぎんなんなどといった具材とだし汁を、土瓶に入れて軽く蒸して作ります。


  

↑ 最初に出汁本来の味を楽しむ ↓

 

さらに、すだちやゆずの果汁を猪口にしぼり入れて、土瓶から汁を注いで吸い物風に味わいながらいただく場合もあります。

 

 

スダチを搾る
出汁本来の味を楽しんだら、アクセントに土瓶の中にスダチを搾ります。

その際、レモンなどと同様、手を添えて搾るのがマナーです。スダチはお猪口に搾るのが作法という流儀もあるようですが、「紀尾井 なだ万」さんではこのスタイル。



 

最後に具材をいただきます。

 

食べる順番としては、はじめはやはり主役の松茸から。そのあとは、味の薄いハモあたりからいただくのが好ましいようです。


 

汁が垂れそうな場合は、お猪口を小皿にして使っても大丈夫です。出汁が残っていたら、お猪口に注いで最後まで堪能しましょう。

具材を残らず食べ終えたら、土瓶の蓋をもとの状態に戻しましょう。


 

具材を味わう前に、まずは出汁を味わう。このことを覚えていたら、取引先や上司から急に会席料理の席に呼ばれても安心ですね。

秋の味覚の王様、松茸の風味を存分に味わえる土瓶蒸しを堪能してください。



 

↑ スダチを搾って土瓶の中に ↓

 

 

マツタケ(松茸)
特有な芳香があり、日本では高級な食用キノコとして珍重されるが、日本国外では不快な臭いとみなされていることが多い。


 

↑ 生酒と松茸 ↓

 

マツタケは生育段階によって、俗に「ころ」「つぼみ」「ひらき」とよばれている。

「つぼみ」は傘の膜切れがないつぼみの状態で、軸の直径3.5センチメートル (cm) 以上、長さ12 cm以上のものを指し、弾むような歯ごたえで高値がつく。


 

「ころ」は生育不十分で傘が固く締まった長さ6 cm以下のものを指す。「ひらき」は傘が開いた状態のものである。

マツタケが生える山林は「マツタケ山」と呼ばれており、アカマツ林の尾根から中腹にかけての痩せた乾燥気味の土地に良く生える。


 

平坦で落葉樹の葉がたくさん落ちているような、栄養分の多い土地には生えることはなく、マツタケ菌は他の菌に比べて弱いため、腐葉土が多く養分がある土地では他の雑菌に負けてしまう。

 

生産量減少の主な要因は、山林の放置と宅地造成の拡大と言われており、アカマツ林の保全が提唱されると共に、自然に生えるものから、農産物として山林を手入れをして生やすものへの転換も行われている。

 

マツタケを採るのは難しく、通常のキノコのように地表に顔を出して傘が開ききってしまえば、香りも味も落ちる。




このため、地表からわずか1-2 cm程度、顔を出したところを見極め、根本から押し上げるようにして採取する。

 

シロの場所を知らない人間が、やみくもに探しても採取できない理由はこの点にある。

また、地衣類の多い林地では傘が地上に見えないこともある。
現在のところ人工栽培することができず、自然に発生したものを収穫する。



入会地(いりあいち)の過剰利用などにより退行遷移を起こしてアカマツが優占するようになった里山はマツタケにとっては適した環境であるため、過去には日本でも多く取れ、庶民の秋の味覚として親しまれた。

「松茸列車」と呼ばれる、国産松茸を満載した貨物列車が毎日東海道本線を走ったほどである。



しかし、マツの葉や枝を燃料や肥料として利用しなくなり、マツ林が手入れされなくなったため腐葉土が増え、林床環境が富栄養化したことと、マツクイムシの被害により松枯れが多発したことでマツ林が極端に減少したためにマツタケの収穫量は激減した。

そのため、現在では高価な食材の代表格となっている。

入会地(いりあいち)とは、村や部落などの村落共同体(入会集団)が総有する又は共同利用が認められた土地で、薪炭・用材・肥料用の落葉を採取した山林である入会山と、まぐさや屋根を葺くカヤなどを採取した原野・川原である草刈場の2種類に大別される。

 

 

あしらい
日本料理には「あしらい」という言葉があります。あしらいというのは料理を盛り付ける際に、料理に敷いたり、乗せたり、添たりする物の総称です。

あしらいを盛り付けの際に活用する事で、料理の味や香り、見た目を引き立てる役目を果たしてくれます。

あしらいは華やかなおせち料理をより一層引き立たせ、彩り鮮やかにしてくれます。

八寸にススキ
ススキ(芒、薄)イネ科ススキ属の植物。尾花(おばな)ともいい秋の七草の一つ。

また茅(かや。「萱」とも書く)と呼ばれる有用植物の主要な一種。 野原に生息し、ごく普通に見られる多年生草本である。


 

八寸に椛
ムクロジ科カエデ属の植物(カエデ)、または同属に代表される植物の葉の色が変わる現象。名前の由来は、葉の形がカエルの手「蝦手(かへるで)」に似ていることから、呼び方を略してカエデとなった。

小海老と銀杏
海老にはたくさんの種類がありますが、その中でも10cm前後までしか成長しないものが「小」と呼ばれています。


 

銀杏(ぎんなん)は、イチョウの種子のこと、または、イチョウの木の別名。基本的には「ぎんなん」といえば種子を指す意味で用いられることが多い。

銀杏にはメチルピリドキシンという中毒物質が含まれており、神経を興奮させ、けいれんや呼吸困難、手足の麻痺、不整脈など、さまざまな中毒症状を起こす可能性がある。1952年には、大人1人死亡、子ども3人が重症という事故も記録されている。