春華堂
日本の静岡県浜松市中央区にある菓子製造会社。主力商品である浜松銘菓「うなぎパイ」は「夜のお菓子」というキャッチコピーともども全国的に知名度が高い。

地元では和菓子と洋菓子を取り扱う老舗菓子店として知られている。



 

↑ うなぎパイファクトリー見学者カードにコツ用事項を記入 ↓

 

 

芳蔵の時代
幕末も最末期の慶応元年(1865年)、宇津ノ谷峠で茶屋を営む家に生まれたのが、業者・山崎芳蔵である。



 

↑ 受付カウンターとハロウィン飾り ↓

 

 

開業当初の主力商品であった甘納豆は、浜松の名産品であった浜納豆をヒントに独学で開発したという。


 

889年(明治22年)4月16日、鉄道局の官設鉄道(国鉄の前身)東海道線が静岡駅まで延伸することで新橋駅までの既存線と直結すると、浜松駅は途中駅として開業に漕ぎ着け、ここに、鉄道旅の手土産(土産菓子)を求める人々を重要な顧客とする春華堂の歴史が幕を開けた。


 

幸一の時代
第二次世界大戦後、息子・山崎幸一の代になると、新たな創作菓子「知也保(ちゃぼ)」を売り出した。


 

同品は鶏卵の形した最中で、菓子としては珍しい実用新案を取得したり、文化人・武者小路実篤が和歌に詠むなど、高い評価も得た。


 

その後も新しい菓子の創作を追求し続け、そうして浜松らしい菓子をと考案したのが「うなぎパイ」であった。うなぎパイの躍進はまさしく“鰻登り(うなぎのぼり)”であり、それと共に当社は日本の高度経済成長期と相まって全国にその名を知られるようになった。


 

その後
創業100周年を迎え1988年(昭和63年)12月には、記念事業の一環で手がけた6階建の浜松駅前ビルが完成し、その1階では駅前ビル店の営業も開始した。


 

その店は2014年(平成26年)5月に閉店し、25年で幕を下ろす一方、同年7月には浜北区()(現・浜名区)染地台にて、コミュニティー施設を兼ねた新業態の広大な施設「nicoe(ニコエ)」を開業した。



 

加えて、同年中、染地台にある「きらりタウン」内へ主力工場を移転した。


 

うなぎパイ誕生50周年事業
うなぎパイが生誕50周年を迎えた2011年(平成23年)は、記念事業の一環として年間を通じて様々なイベントが行われた。主なイベントは以下のとおり。


 

1月
50周年記念CMを放送開始。コマーシャルソング「うなぎのじゅもん」は小椋佳が作曲・作詞した。主演には女優・逢沢りなを起用。


 

4月
記念制作ドラマ『誰よりも君を愛す!』の放映。テレビ静岡制作・フジテレビ系列放映。

CMも特別なものを制作。同作品に出演した春風亭昇太が浜松の名所を紹介するミニ番組風であった。


 

うなぎパイトラック
荷台に全長6mの巨大な「うなぎパイ」の模型を搭載している。


 

7月 
記念落語イベントの開催。4月のドラマ設定地であった浜松での落語会を実際に開催。春風亭昇太、ほか。


 

8月 
 広告宣伝車「うなぎパイトラック」を使ったPRキャラバンイベントの開始。

「うなぎパイ」の名を冠したアドトラック(広告宣伝用トラック)で、関東から関西圏にかけての広い地域でイベントを開催。


 

翌年にこの収益の一部を活用したイベントを東日本大震災の被災地で行なった。

通常時の「うなぎパイトラック」は、製造工程の見学等ができる「うなぎパイファクトリー」に展示されているが、イベントの開催に合わせて全国各地を移動した。


 

模型の「うなぎパイ」は、鉄骨フレームと発泡素材の樹脂、袋はポリ塩化ビニル製で、印刷の文字や袋の皺、風合いに至るまで細部にわたって忠実に再現されている。

 

体積は本物の「うなぎパイ」の2万本分に相当する。加えて、このトラックをモデルにしたトミカのミニカーも、直営店にて2012年(平成24年)1月から、価格1,575円、限定3,000個で販売された。


なお、春華堂とトミカのコラボ企画はこの時が3回目。
1回目はトミカ側から持ち込まれた企画でチョロQの配送トラック(車体は白地、荷台は銀地)を発売した。

 

これが好評であったことから、2回目は春華堂からの企画でミニカーの運搬車が実現している。



手土産 うなぎパイ
2019新型コロナウイルスによる急性呼吸器疾患は、中華人民共和国湖北省の武漢市で2019年後期に発生し、明くる2020年に入ってアウトブレイクからパンデミックへと発展した。

 

日本も深刻な事態に陥り、防疫上の事由で人の物理的交流も経済活動も大幅な自粛を余儀なくされた。


そのような鬱屈した社会情勢にあった同年(令和2年)3月、東海道新幹線が大幅減便(乗客数で前年同期(3月1日-9日)比56%マイナス)し、この路線を主要販売先としていた「うなぎパイ」の同年3月の売上高大幅減(通常の半分程度に減少)に繋がった。

そのため、大久保工場(日産20万-30万本)を同月13日から21日まで操業を停止することとなった。

 

うなぎパイとそれを土産菓子として購入する東海道新幹線の乗客との関連性の強さは、世間の関心を引き、マスコミ各社がこぞって報道した。

もっとも、実際には同じ事由による高速道路サービスエリアでの土産需要の大幅減も影響している。



さらにその後、操業停止期間は無期限延長されたが、SNSでこれを知った一般消費者の「買って支援する」という動きが広がりを見せて需要が回復し、在庫対応するという当初の計画を変更、18日に生産を再開した。


 

その後、感染のさらなる拡大を受け、同年4月10日以降より再び生産を休止し、その後製造を再開したものの、2021年の緊急事態宣言の再発令でも需要減が見込まれるため、生産量を減らすことになった。


 

また、小麦粉などの原料や包装材が高騰していることから、2022年4月1日から最大で約10%の値上げを実施した。