糸染め
黄八丈は、八丈島に自生する草木を染料とした純粋な草木染で、「刈安の黄色」「マダミの鳶色」「椎の木と泥の黒」の3色を基調とし「白」を組み合わせて独特の配色を織り上げられています。



 

↑ ビデオ画像による説明 ↓

 

多くの業者が化学染料を利用するようになりましたが、め由は八丈島に自生する植物染料に拘りました。

 

現在でも「黄八丈めゆ工房」では、め由から引き継がれている植物染料や媒染、山中の泥沼での泥染など、すべてが八丈島の豊かな自然に由来するものになっています。

 

現在「黄八丈めゆ工房」では分業体制が確立されており、芙美子さんのご主人の譽さんを中心として染めが行われています。

八丈島の草木を使えばあらゆる色を染め上げることが出来る中、黄八丈の3色は「不自由の中から生まれる自由。行き着くところは従来の3色」なのだそうです。

 

3色の染め糸にも関わらず、出来上がった作品には緑色を感じさせるものもあり、とても不思議な感覚に陥ってしまいます。


 

「黄八丈めゆ工房」の染め
八丈島では染液のことを「煎汁(ふし)」、媒染のことを「灰汁づけ(あくづけ)」、泥媒染のことを「泥づけ」と呼んでいます。

 

一般的に、媒染液には酢酸鉄やミョウバン、硫酸銅などが使われていますが、本来の草木の持っている色合いとは違ったものとなってしまう場合があるため、黄八丈では木を燃やしてできる灰を水に溶き、その上澄み(灰汁…あく)や沼の泥などの自然の物を使って媒染しています。


 

自然の媒染剤を使用し、数10回も繰返される染色法により、深みのある綺麗な色に染め上がるといわれています。


黄染めの灰汁づくり
八丈島の梅雨が明けた八月初旬頃の良く晴れた風のない日に、椿と榊を焼きます。
このことを灰焼といいます。



一年分の灰をまとめて作るため、椿と榊を3000kg以上準備します。
この椿と榊を三日以上かけて、真っ白な灰になるまで燃やし続けます。


出来上がった灰を水の入った甕に入れ、よくかき混ぜ分離するまで1週間程置きます。
その上澄みをすくったものを「灰汁」として用います。



黄八丈の黄染め
黄染めには、八丈刈安(コブナグサ)という植物で染め、椿と榊の灰汁で媒染します。
八丈島ではコブナグサのことを刈安と呼んでいます。

 

・刈り取った八丈刈安を乾燥させ、水と一緒に窯に入れ色素を抽出し煎汁(ふし)を作ります。

・煮出した煎汁(ふし)に糸を一晩漬けて天日で乾燥させます。

・煎汁(ふし)に浸して上部を布で覆い、糸が直接空気に触れないようにして翌日まで漬け込みます。

 

・翌朝に糸を取り出し、よく絞って屋外で竿にかけて夕方まで乾燥させます。

・完全に乾燥したら、新しい煎汁(ふし)に漬け込み、このことを「煎汁づけ」といいます。

・「煎汁づけ」と乾燥を15から20回繰り返します。

・椿と榊の灰で作った灰汁(媒染剤)を、少しずつかけながら揉み込むと、鮮やかな黄色に発色します。


 

↑ ビデオ画像はここまで 

 

八丈刈安は、かつては島に自生していた植物でしたが減少したため、山下家では畑で栽培しています。

黄色の染は繊細で、コブナグサはその年によって色素が出ないこともあるようです。





 

↑ 展示されている三色の糸 ↓

 

 

山下め由(めゆ) 

1897-1984 明治-昭和時代の染色家。


明治30年5月11日生まれ。生地の東京都八丈島で7歳のときから祖父に糸染めの秘法を伝授される。

 

以来,黄八丈の染め・織りに従事し,後継者をそだてて300年の歴史をもつ伝統工芸をまもった。

昭和57年吉川英治文化賞。昭和59年4月1日死去。86歳。

 

 

手織機(ておりばた)
黄八丈の業務用手織機(ておりばた)です、長期乾燥材で狂いが出ません
反物・帯・センター・ネクタイ・スカーフなど織れます

 

 

地機(じばた)
5世紀ころから日本で使用されたとみられる手織機で、いざり機,下(した)機,神代(じんだい)機とも呼ばれた。



 

これより古い原始機では機台がなく、筬(おさ)はいちばん後方にあり、経糸(たていと)の幅および間隔を一定にするために使用されたが、地機では経巻具(たてまきぐ)を機台に取り付けて後ろを高くしてあり,筬は綜絖(そうこう)の前方に置かれ、緯(よこ)打ちに使用される。


 

布巻具を腰当てで体につけ、座って織るので、経糸はかなり傾斜している。このため有機台傾斜機に分類される。

経巻具は緒巻(おまき)または千切(ちぎり)、布巻具は千巻(ちまき)とも呼ばれる。


綜絖(そうこうは依然として単綜絖で、中筒(なかづつ)の前方に置かれ、平織しか作ることはできない(一部ではもじり綜絖も用いられた)。

 

しかし、てこあるいははねつるべの機構で,足で綱(足縄)を引いて綜絖を上下し、中央のくぼみに緯糸を納めた大杼を用い,両手で緯入れすることができる。




このため原始機より緯入れ、緯打ちの能率が向上した(緯打ちは大杼と筬の両方で行う)。
地機は麻あるいは樹皮繊維の布を作るために使用されたが、やがて絹にも一部使用され、16~17世紀には綿用の織機としても普及した。


 

現在、越後縮(ちぢみ) 苧麻布(ちよまふ)や、結城紬(ゆうきつむぎ)など、一部の地方で地機の技術が保存されている。



高機(たかばた)
手織り機の一。腰板に腰掛け、踏み木を足で踏んで2枚の綜絖(そうこう)を交互に上下させて織るもの。

地機 (じばた)より丈が高く、構造・機能の進歩した織機で、錦・綾などを織るのに用いる。

 

↑ イエネコとゴクラクチョウカ ↓
 

哺乳綱食肉目ネコ科の動物。同科に属する飼いならされたネコ。


 

祖先はリビアヤマネコF. sylvestris lybicaで、古代エジプト人により紀元前1500~前1300年ごろには家畜化されていた。

 


 

本来はネズミをとらえるために飼われたが、今日ではおもにペットとして飼われており、約30種ほどの品種がある。