三界萬霊(さんがいばんれい)
仏教語で三界は、欲界・色界・無色界をいい、萬霊というのは欲・色・無色界の有情無情の精霊などのあらゆる世界をさしている。それらを供養することが三界萬霊塔である。
お寺には、三界萬霊と書かれた石碑や位牌が祀られています。これは三つの世界、すべての精霊に対して供養することの大切さを示すものです。

三界とは、無色界むしきかい色界しきかい欲界よくかいの三つをさします。界の原語には層という意味もあるので、界は階層と考えてもよいと思います。
細かく分けると、無色界は4階層、色界は16~18階層、欲界は20~36階層(処)、になります。
欲界(よっかい)物質欲の世界
三界のうち欲界が最下層です。淫欲・食欲・睡眠欲など、本能的な欲望が強い世界です。
細分化すると20~36階層に分けられ、上は六欲天から、下は八大地獄まで、人間界は中間に位置します。
天の世界は詳細に分けられています。下から数えて六つ目までを六欲天といいます。六欲天は人間に近い天で、欲望に束縛されているので、欲界に属します。
地上に住む2天を地居天じごてん、空中に住む4天を空居天くうごてんといいます。

六欲天には性欲があり、その多少によって順位が付いています。地居天は交わり有り。
空居天は、からみ抱くのみ、握手のみ、対して笑うのみ、相い見合うのみ、の4段階があります。

色界(しきかい)形質だけの世界
欲界の上は色界といいます。色とはCOLORだけではなく、形あるもののことで、欲望を離れた浄妙な物質からなる世界です。

欲望は超越しましたが、物質的な束縛はまだ残っている段階です。色界は、心身の落ち着き具合によって、大きくは4段階に分けられ、細分化すると16~18の段階に分けられます。

四禅天(7~9種類) 三禅天(3種類) 二禅天(3種類) 初禅天(3種類)
四禅天内の、無想天を広果天に含めると17天説。さらに初善天内の大梵天を梵輔天に含めると16天説になります。

無色界(むしきかい)心だけが生きている世界
色界の上にあるのが無色界です。色を持たない世界です。欲望も物質的な面も超越した、精神的な要素のみからなる高度な世界です。

こちらも、心の落ち着き具合で4段階に分けられます。この4段階の最高峰を非想非非想処天ひそうひひそうしょてんあるいは色究竟天しきくきょうてん、有頂天うちょうてんなどと呼びます。

有頂天は、喜びや得意の絶頂にいて、我を忘れている状態を表す言葉としても有名です。
これらの区分は、空間的にある世界というより、修養による心の発達段階を表している、と捉えた方がよいと思います。
無色界の上、つまり三界を超越したところに仏様の世界が存在します。

永平寺/承陽殿
承陽殿は、曹洞宗の開祖である道元禅師(1200–1253)の真廟である。
寺院では、開祖のお堂は開山堂と呼ばれるのが一般的だが、この堂名は、明治天皇(1852年~1912年)が1879年に道元禅師に授けた諡号に由来している。
天皇は道元禅師を「高祖承陽大師」と称した。お堂の再建は1881年である。
主祭壇には道玄禅師の大きな像が納められている。
道元禅師の御尊像の横には、後継者4人の住持の像が並んでいる。孤雲懐奘禅師(1198–1280)、徹通義介禅師(1219–1309)、義演禅師(d。1314)、義雲禅師(1253–1333)である。
祭壇の上のフリーズには地元の大工によって彫られた精巧な彫刻が施されている。
毎朝、選ばれた修行僧(雲水)のグループは、ほかの修行僧より早く起き、彫像のためにお茶を準備する。
この毎日のお供えは、住持への教えへの敬意と感謝を示したもので、この習慣は永平寺の第二住職の懐奘禅師によって確立されて以来、途切れることなく続いている。

国宝・重要文化財(建造物)
承陽門(じょうようもん) 明治14年(1881)
構造及び形式等:一間一戸向唐門、銅板葺
創建及び沿革:棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
指定番号: 2696
国宝・重文区分:重要文化財
重文指定年月日:2019.09.30(令和1.09.30)
重文指定基準1:(一)意匠的に優秀なもの
磬子(きんす・けいす)
読経の時など打ち鳴らす鉢型の梵音具。鈴布団の敷物の上に置かれている。主に銅製。
木魚とセットで使われ、大きさにより「大鏧(だいけい)」・「小鏧(しょうけい)」と呼ばれる。「ばい」という棒状の道具を使って打ち鳴らす。
鳴らすタイミングが決まっており、法要では導師の動きに合わせるのが基本。また、お経の終了を示したり、礼拝の合図となるなど、様々な僧侶の動作を促す為に鳴らされる。
本来は、堂行(どうあん)という専任の人が行う。ご本山などではかなり大型になり、「ばい」もずっしりと重い。
「ゴーン」と鳴らすだけでなく、「ガツ」と音の余韻を消すようにする押鏧(おうけい)や「カチリ」と鳴らす捺鏧(なっけい)などの方法もある。

鈴布団(りんぶとん)
元々鈴(りん)とは、禅宗の仏具であり、祈りや供養の想いをその音にのせて仏様へ伝えると云われます。
なお他には、仏様をお呼びする、お経の旋律を整える為など諸説あり、御宗派によって云われも様々です。
そして、現在では各御宗派でも使用するようになりました。その下を支えるのが鈴布団です。鈴(りんが傷つく事を防いだり、叩いた時に安定させる役割があります。形状によってはりんの音色にも影響致します。

永平寺の白山水とは
福井県の嶺北地方を流れる一級河川。九頭竜川水系の本流。流域面積2,930km2は福井県の面積の約70%にあたり、県のシンボルの一つとされている。
日本三霊山のひとつである「白山」を源とする九頭竜川に流れる雪解け水が永平寺町に。
大本山永平寺の宗祖道元禅師は修行中「春は花、夏ほととぎす、秋は月、冬雪さえて涼しかりけり」と詠われました。
其の教えに「典座活材」という言葉があり「すべての食べ物には命があり、その命を頂くのであるから典座は、その食材すべてを無駄なく活かし料理をする」と説いています。

↑ 孤雲閣 此れより先立ち入り禁止 ↓
孤雲閣
孤雲懐奘(こうんえじょう)禅師
懐奘禅師は京都の生まれで、道元禅師よりも2歳年上でした。

比叡山で出家得度後、浄土宗に学ぶが、納得がいかず、大和の多武峯(とうのみね)を拠点としていた禅宗の一派、日本達摩宗で修行を積まれた。
比叡山で出家得度後、浄土宗に学ぶが、納得がいかず、大和の多武峯(とうのみね)を拠点としていた禅宗の一派、日本達摩宗で修行を積まれた。
その後、中国から帰国した道元禅師と建仁寺で出会い、その教えのすばらしさと人格の清廉さに惹かれ、5年後、1234年、懐奘禅師37歳の時に正式に弟子入り。
以後、全ての私心を捨てて道元禅師に随身され、孝順の誠を捧げた。
道元禅師が亡くなられた後はその遺骨を病気療養しいた京都から永平寺に持ち帰り、葬儀を行い、永平寺の第二世住職となる。

↑ 孤雲閣 一文字廊と仏殿 ↓
懐奘禅師は 元禅師の死後も、遺骨が奉安された承陽殿の脇に孤雲閣を建て、まるで生きて居るかのように随侍し、道元禅師の教えを受け継ぎました。

↑ 孤雲閣 一文字廊と仏殿 ↓
朝早くの起床 の御挨拶からはじまり、常に承陽殿を離れず道元禅師の御真牌を守り、毎夜遅くまで承陽殿の点検を怠らなかったといわれます。

そのため、現在も永平寺では 夜の戸締まりの際、承陽殿の正面扉だけは今なお2代懐奘禅師の点検のために、少し開けておくことになっています。
↑ 法堂とベンチ(初めて見た参拝者が室外で座れる場所) ↓
また、道元禅師の日常の言葉を記した『正法眼蔵随聞記』を残したのをはじめとして、百数十巻に渡る道元禅師の著述を整理、書写し、その他にも『永平広録』等を編集し、道元禅師の教えを後世に伝える重要な役割を果たした。
↑ 立派な巨木 ↓
↑ 小さな池 短い渡り廊下 ↓
瑞雲閣(ずいうんかく)
大庫院の二階には「瑞展(ずいてん)」とも称される一般参籠者の宿泊に当てられる和室や応接間があります。
大庫院(だいくいん)
昭和5年(1938)に改築され地下1階地上4階、木造建築物です。庫院の入口には永平寺50世玄透禅師(げんとうぜんじ)揮毫の「庫院(くいん)」という額があります。
中にはいると、永平寺67世元峰禅師(げんぽうぜんじ)の筆になる「法喜禅悦/ほうきぜんえつ」という額が掛けられ、その両脇の聯(れん)には永平寺73世泰禅禅師(たいぜんぜんじ)」によって法食同輪永転山園之隆盛証修忘跡平増香閣之禎祥(しょうしゅうあとをぼうじ、たいらかにこうかくのていしょうをます)と揮毫されています。
これらの聯・額は食事を作る人も、その弁食を頂く人も共に三輪空寂(さんりんくうじゃく・与える人も、受ける人も、その物も清浄)であるという意味。
正面中央には足の早いことで有名な守護神「韋駄尊天/いだそんてん」が祀られています。
1階・食事を作る「典座寮」とよばれる台所があります。
2階・「瑞雲閣(ずいうんかく)」。
3階・和室の150畳敷きの大広間「菩提座/ぼだいざ」があり、伊藤彬画伯による襖絵があります。
4階・知庫寮(ちこりょう)の倉庫で雲水の日常品等が保管されています。
仏殿(ぶつでん)
明治35年(1920)の改築で、中国宋時代様式の二重屋根と、床は石畳となった大変美しい伽藍です。
中央の須弥壇(しゅみだん)と呼ばれる壇の上には、本尊の釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ/お釈迦様)が祀られ、三体の仏像は向かって左側から過去・現在・未来の三世を現しています。
仏殿の下層眉間(かそうみけん)には、永平寺50世玄透禅師(げんとうぜんじ)揮毫の「覚王宝殿」という額が掲げられています。
また欄間には禅宗の逸話が図案化された12枚の彫刻がはめられています。


























