水平飛行&機内テレビ(モニター)
水平飛行とは言いますが実はわずかに傾います。


機内もその傾きを考慮した工夫がなされている一方、客室乗務員は傾きに注意しながらサービスをしています。


 

↑ 折り畳み式のテーブルとお手拭き ↓

 


飛行機は水平飛行している時、ある程度上に傾いていることご存知でしょうか。
水平飛行は、飛行機を持ち上げる揚力と機体重量による重力が釣り合った状態の事を言います。


もし、機首を水平にすると、十分な揚力が得られません。また一方で機首を上げすぎると抵抗が大きくなってしまいます。


これらを解消するために、設計者は機首を1.5度から3度くらい上げた状態で、重力と揚力が釣り合うように機体がデザインしています。

速度や高度、機体重量、上層の気象条件などにもより異なりますが、概ね機首を1.5度から3度くらい上げた状態で飛行しています。機材の違いはほぼありません。


参考に、離陸上昇時は機首を15度前後上げた状態です。離陸推力の設定や重量などもより多少変化はしますが、概ねこの角度に近い値です。

着陸時ですが、約4度から5度機首を上げた状態で接地しています。フレアーと呼ばれるもので、主輪から接地できるように機首をやや上げて降ろします。

空港の条件や風向、風速、フラップや着陸速度によって変化はしますが、概ねこの値です。

 

↑ rice crackerライスクラッカー  サッポロ生ビール黒ラベル ↓

 


豆知識ですが、水平飛行でも機内は後方から前方にかけて上がる形で若干の坂になるので、客室乗務員はそれを前提に業務しています。

客室後方から前方にカートを移動させる際は、カートの重さプラス角度による抵抗があるので常に両手で支えカートのブレーキは常時かけるようにする。

食事が入っているフルサイズのカートはふたりで操作する。
カートを客室後方から前方へ移動させるときは、お客様のお顔が見えるように前から引っ張る。


そのときに手が空いている客室乗務員が、向かい側から押してあげるなどして助け合う。など、工夫がされています。

また、料理や飲料の準備などをするギャレーも傾いています。
盛り付ける際、飛行機の傾きによって肉のソースなどが流れてしまわないよう、皿を平衡に保って美しく盛り付けられるようにする。

温かいお飲み物を準備する際、何かのはずみですべっていかないように、敷物の上に器を置いてすべりを防止している。など、様々な気遣いがあるそうです。

また、飲み物を置いたりする座席テーブルも傾きを想定して前側に3度傾けています。



機内機テレビ(モニター)
いまや長距離を飛ぶ国際線用の飛行機だけではなく、国内線でも珍しいものではなくなった機内モニター。

 

↑ 飛行経路を表示 ↓

 


かつて世界初「機内でテレビ放映」を実施したのはANAでした。
東京五輪前にANA機に初搭載されました。



2020年現在、日本の航空会社の客室設備で、座席ごとに備え付けられた「個人モニター」は、なにも珍しいものではなくなっています。

 

↑ 高度表示12496m 速度 外気温などを表示 飛行経路広域表示 ↓

 


長距離を飛ぶ国際線機材では、LCC(格安航空会社)を除いてほぼ一般的といえる設備であるほか、近年では国内線機材でも全席に装備され、それを大きな強みとしている航空会社もあります。


実は、機内モニターの元祖は日本だったとも考えられます。

 

↑ 高度12,000m程度で道路や海岸線も良く見えます ↓

 


東京オリンピックを控えた1963(昭和38)年、ANA(全日空)機の羽田~伊丹線が、世界で初めて機内にテレビをつけ、放映したと報じられています。


共同通信によると、「特殊アンテナを機体に取り付けて電波を受信、5台のテレビでプロ野球ナイターが中継され、乗客はイヤホンをつけて観戦」したそうです。


ANA広報部によると、1978(昭和53)年に「トライスター」ことロッキードL1011型機で、プロジェクターを使った機内エンターテインメントの放映サービス「スカイサービス」が開始されたとのこと。


個人用モニターが初めて搭載されたのは、1991(平成3)年のことで、ANA国際線で現在の「ビジネスクラス」に相当する「CLUB ANA」で装備されたそう。


その後、国際線のエコノミークラスにも2002(平成14)年から個人モニターが導入され、2017(平成29)年には、エアバスA321neo型機に国内線用の機材としては初めて全席に個人モニターが搭載されたとのことです。

2020年9月時点のANAでは、国際線用のボーイング777-300ERのうち7機が4K対応のモニターが備わる最新上位クラス「The Suite」「The Room」仕様であるほか、国内線用の主力機のひとつ、ボーイング777-200のうち4機が、全席に個人モニター搭載の内装となるなど、年を追うごとに座席に搭載されるエンターテインメントシステムの充実度アップが図られているようです。



なお、全クラスで個人モニターを世界初導入したのは、イギリスのヴァージンアトランティック航空とされています。

また、国内航空会社の国内線用の機材で全席モニターを装備したのは、かつてのJAS(日本エアシステム、2004年にJALと合併)の、「レインボーセブン」ことボーイング777型機で、その導入は1997(平成9)年のことでした。