二八蕎麦
「あずみ野」が最もこだわっているのは蕎麦、信州産の粉を選び、厳選した小麦粉を二割加えて打つ二八蕎麦です。



注文を受けてから食べる時間に合わせてその人だけのために打つ蕎麦は、色つやはもちろん風味ものどごしも絶妙です。

そば懐石とはいえ、焼き物や揚物の素材として蕎麦を取り入れる方式ではなく、コースの最後に食事として蕎麦が出る形ですので、懐石は懐石、蕎麦は蕎麦として完成した料理を揃えています。


料理長いわく、「料理を堪能した後の締めに出る蕎麦のおいしさを引き立てることを考えて、四季の素材を生かした献立を考えている」。

シンプルにして華麗そしてオリジナリティが加味され、独自の世界を作り上げており、本格派の懐石料理と本格派の蕎麦、両方を堪能できます。

「あずみ野」は、創業女将の出身地である長野県の安曇野に由来しますが、蕎麦懐石の道を選んだのも同様の理由です。

信州の粉を選び、厳選した小麦粉を二割加えて打つ二八蕎麦にこだわりを持ち、お客様のご注文を受けてから食べる時間に合わせてその人のために蕎麦を手打ちします。

 

↑ 今夜の蕎麦蒸篭と 前回の蕎麦蒸篭 ↓

 

 

「もりそば」や「ざるそば」を注文すれば、「蒸篭」に盛り付けて供されるのが一般的であるが、この「蒸篭」が普及し始めたのは江戸時代末期のころらしい。

蒸篭はもともと釜の上にはめ込んで、饅頭や団子などを蒸すための道具だった。
そばやうどんは、菓子の一種として菓子屋で売られていたために、かつては蒸して作られていたという説がある。

実際、江戸の寛文から元禄の頃には、「蒸しそば」というものが一膳七文で売られていたらしいが、当時のそばはつなぎの入らない「生粉打ち」であったために切れやすく、そのために蒸してつくられた。

つまり、「もりそば」や「ざるそば」などを蒸篭に盛り付ける習慣は、こうした製法の名残のようである。

 


江戸生まれ、東京育ちの名物、「二八蕎麦」。
そばの風味と喉ごしを一層味わっていただける黄金比率=二八そばと言われています。

落語にもなった二八蕎麦

「時そば」と言う、有名な落語があります。
そば16文の支払いを1文ずつ数え、8つまで数えて「今なん時だい?」

そば屋が「九つ」と答えると、以後10、11・・・と続け、1文ごまかす話です。

下げは、それを真似した男が、九つ時まで待てず四つ時にそばを食べに行き、8つの次が「四つ」、以後5、6となって・・・お後がよろしいようでとなります。

この落語が示すように、江戸の庶民文化の典型である「しゃれ」言葉から、16文のそばを「にはち十六」に掛けて「二八蕎麦」と呼んだとされています。

江戸時代の風俗画にも描かれておりますが、「二八うんとん(うどん)」や「信濃蕎麦 信州名物二六」というのもあったことから、「しゃれ」から来た代価説が元々の起源と言われています。

しかし、物価統制でうどん・そばが16文と決められていた時代が100年以上続いていましたが、物価の上昇から慶応年間に値上がりし20文を超えるようになったころから、それが変ってきたようです。

その時期に「二八蕎麦」とは、そば粉8割、小麦粉2割のそばを表すという文献が著され、「二八蕎麦」は割合を示す名称と言われるようになったとされています。

イトメンの二八蕎麦は江戸時代の庶民文化をイメージした代価説由来で名前をつけております。

 

 

薬味の役割と効果
昔から「辛味、薬味も味のうち」と言われるように、薬味を加えることでその料理の風味が増し食欲を増進させることから、蕎麦には薬味が添えられていました。

また、薬味の「薬」には薬、毒消し、滋養の意味があり、「味」には旨味、食欲を起こすといった意味があることから、薬味には薬としての効果と味を引き立てる役割があるとされています。

美味しい蕎麦でも蕎麦だけだと段々物足りなさを感じてくることもありますが、薬味の苦みや辛味が蕎麦に混じることで、口の中がリセットされ蕎麦を飽きずに楽しむことができます。

薬味の栄養素
蕎麦の薬味で代表的なものといえばネギや大根、山葵や唐辛子などがありますが、これらには様々な栄養素が含まれています。


 

↑ 蕎麦つゆとネギ ↓

 


ネギ
ネギには強力な殺菌作用があるので、風邪の予防・治療をするといわれています。
また、血行をよくし疲労物質である乳酸を分解、新陳代謝を活発にする作用もあります。

大根
江戸時代では大根のおろし汁で蕎麦を食べるのが当たり前でした。大根は何といっても消化酵素ジアスターゼが多量に含まれているので、胃もたれや胸焼け、二日酔いに効果があります。また、大根は食物繊維が豊富なので、腸内の老廃物を体外に出す役目も果たしてくれます。

山葵
山葵の辛味成分には強い防腐力や殺菌作用があり、食中毒のもととなる大腸菌や黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌などの繁殖を抑える働きがあります。

 

↑ 山葵と蕎麦つゆ ↓

 

 

唐辛子
唐辛子の辛味成分カプサイシンは血液の循環をよくし体を温めるので、冷え性の改善に役立ちます。また、疲労回復や夏バテ、二日酔いにも効果的です。
 

 

蕎麦つゆと麺つゆって何か違い
「つゆ」とは、醤油・みりん・砂糖を混ぜた「かえし」と呼ばれる調味料に、削り節からとった「だし」を入れて作られます。


その中でも、「蕎麦つゆ」はお蕎麦に特化した専用のつゆで、「麺つゆ」はそうめん、うどん、ひやむぎなどの麺類全般向けに作られたつゆになります。


「蕎麦つゆ」と「麺つゆ」の大きな違いは
① かえしを作る際の醤油に対して入れる「みりんと砂糖の分量」
② かえしに入れる「だしの分量」
の2点です。

 

「蕎麦つゆ」は、お蕎麦に合うように作られたお蕎麦専用のつゆです。そのため、「麺つゆ」と比べ、かえしに入れるみりんと砂糖の量が多く、入れるだしの量は少なめです。味わいは、やや甘く塩辛く濃い目の味付けで作られているのが特徴です。
 

 

これには3つの意図があります。

 

 

お蕎麦の風味につゆが負けないようにつゆが絡みにくい麺であるお蕎麦でもつゆの味をしっかり楽しめるようにつゆを少量しかつけないという食べ方をする冷たいお蕎麦でもお蕎麦の風味とつゆの味のバランスが取れるようにという理由で、「蕎麦つゆ」はやや甘く塩辛く濃い目の味付けになっています。

 

 

 

↑ 前回と今回 ↓

 

 

 

蕎麦湯
食後に出されるそば湯。あの白っぽくてとろっとしたお湯の正体をご存知ですか。

そばを茹でたあとの茹で汁なんです。食後に必ず出してくれる店もありますし、無かった場合もお店の人に頼めば出してくれます。
 

 

関東と関西では知名度が違う
関東ではそばをオーダーするとそば湯が当たり前のように出てきますが、関西にはその文化がほぼないそうです。

そば湯を飲んだことがない人や関東でそば湯を初めて見て戸惑ったという人、そば湯の存在すら知らない人までもいるようです。

これは、関西ではそばよりもうどん文化の方が圧倒的に栄えているため、と言えるでしょう。
とはいえ、関西のおそばやさんでもそば湯をオーダーすれば出してくれるようです。
 

 

そば湯を飲む風習は、信州(現在の長野県)から始まったといわれています。

信州では昔から胃腸の調子が悪い時にそば湯が効くといわれ、胃腸薬の代わりに飲まれていました。

それを聞いた江戸っ子が江戸に広めたところ大流行し、関東地方に広まって、現代まで続いているというわけなのです。

とろみがあるそば湯を提供するお店が多いですが、このとろみの正体はそばの栄養成分が溶け出したもの。

つまり、そば湯までいただいて初めてそば粉の栄養を余すことなく摂取できるのです。

おそば屋さんでは、そば湯をそのままストレートで飲んでみましょう。おいしいおそば屋さんほど、そば湯も当然おいしくなります。

少々粉っぽい感じはありますが、そばの風味が口の中に香ばしく広がり、食後のお茶感覚でホッとする味わいです。

そばつゆで割ると塩分が高くなってしまうので、健康面を気にする方にもおすすめの飲み方です。

ひと口目はストレートで、ふた口目はつゆで割って、と味の違いを楽しむのもよいですね。

そば湯をそばつゆで割ったものに、七味や山椒などの薬味を加える飲み方です。ピリッとした香りが際立って、ストレートだとクセがあって苦手という方にも飲みやすくなりますし、麺つゆが少なめでもおいしくいただけます。

薬味のわさびやネギを残しておき、混ぜていただく方法も。

 

 

↑ 前回はこの洋間で頂きました ↓

 

 

 

↑ 前回の部屋 今回の部屋 ↓