鮎飯
岐阜県の長良川沿いや栃木県の那珂川沿いなど、鮎がとれる地域に伝わる郷土料理。



醤油、みりんなどで味つけしただし汁と白米を土鍋に入れ、煮汁が沸騰したところで塩焼きした鮎を入れて蓋をし、炊き込みご飯にする。


「鮎ご飯」ともいう。天然鮎の旨みが詰まった土鍋で炊いた極上の味。
提供期間 5月中旬~10月下旬


鮎(香魚、年魚、銀口魚)
キュウリウオ目に分類される、川や海などを回遊する魚である。「清流の女王」とも呼ばれている。

 

↑ 御造り ↓

 


なお、漢字の「鮎」は、中国ではナマズを指し、アユという意味は日本での国訓である。
成魚の全長は30cmに達するが、地域差や個体差があり、10cmほどで性成熟するものもいる。

若魚は全身が灰緑色で背鰭が黒、胸びれの後方に大きな黄色の楕円形斑が一つある。秋に性成熟すると橙色と黒の婚姻色が発現する。

体型や脂鰭を持つなどの特徴がサケ科に類似する。口は大きく目の下まで裂けるが、唇は柔らかい。歯は丸く、櫛(くし)のような構造(櫛状歯)である。

 

分布
北海道・朝鮮半島からベトナム北部まで東アジア一帯に分布し、日本がその中心である。

石についた藻類を食べるという習性から、そのような環境のある河川に生息し、長大な下流域をもつ大陸の大河川よりも、日本の川に適応した魚である。



天塩川が日本の分布北限。遺伝的に日本産海産アユは南北2つの群に分けられる。中国では、河川環境の悪化でその数は減少しているが、2004年に長江下流域でも稚魚が発見された報告があるなど、現在も鴨緑江はじめ、東部の各地に生息している。

 

また、中国では浙江省などで放流や養殖実験が行われている。台湾でも中部の濁水渓以北で生息していたが、現在は絶滅が危惧されている。


日本では代表的な川釣りの対象魚であり、重要な食用魚でもある。地方公共団体を象徴する魚として指定する自治体も多い。

 

稚魚期を降海し過ごすアユは、琵琶湖産コアユと区別するため、海産アユとも呼ばれる。
群馬県・岐阜県・奈良県では県魚に指定されている。


食材
特に天然アユを中心に、出まわる時期が限られていることから、初夏の代表的な味覚とされている。

日本各地のアユの胃の内容物に関する調査の結果、濁りが多い川のアユは胃に泥を多く持ち、食味にも泥臭さが出る。

この場合、はらわたを除去することで泥臭さを避けることもできる。一方、泥が少ない川では胃にも泥が含まれず、食味も大幅に改善する。

同じ川でも、遡上量が多く川底がアユによって「掃除」されたような年には風味も良くなる。


日本では一般に、魚は刺身で食するのが最良とされている(割主烹従)が、アユについては例外的に塩焼きが最良とされている。

一般に初夏のものはアユの独特の香気を味わい、晩夏のものは腹子を味わうとされている。

焼き物・揚げ物
アユは、初夏から夏の季節を代表する食材として知られ、清涼感をもたらす食材である。特に初夏の若アユが美味とされ、若アユの塩焼きや天ぷらは珍重される。

鮎は蓼酢で食べるのが一般的だが、ほかにも蓼味噌を添える場合もある。塩焼きにした後に残った骨はさらに炙り、熱燗の日本酒を注ぐ骨酒とすることができる。

 


薬味のチカラ
「薬」と「味」を組み合わせた「薬味」は、まさにその字の通り薬効と風味をプラスする添え物のこと。そのほとんどが、漢方の世界で「生薬」として使われている植物で、先人の知恵には敬服するばかりです。

 

 

 

刺身に必ず添えられるわさびやシソをはじめ、調理法や素材に合わせて上手に使い分けたいものですね。

 

 

 

さび→刺身など
抗菌作用にすぐれ、生魚の生臭みを消す働きもあります。胃腸を爽快にし、食欲増進にも役立つといわれます。使うたびにすり下ろすのがおすすめ。

 

 


 シソ→刺身、カルパッチョ、煮魚、焼魚など
抗酸化作用に優れ、風味のよさ、彩りのよさでもピカイチの薬味です。赤ジソは花穂の部分を刺身に、また青ジソはきざんで添えたり、まぶしたり、飾り付けたりして使います。

 

 


 土しょうが→刺身、煮魚など
すがすがしい香味を持ち、魚の生臭みを消します。血液の循環をよくし、身体を温めるはたらきもあり、風邪の予防などにも使われる野菜です。すり下ろして、きざんで、スライスして、料理の形態に合わせていろいろおためしください。

 

 


ニンニク→たたき、煮魚、焼魚など
独特の香味に好き嫌いはありますが、身体をあたため、疲労回復によいとされる野菜です。すり下ろしても、スライスにしても使えます。脂との相性がよいので、炒めものにも重宝します。生食は胃腸への刺激が強いので、胃腸が弱い人は注意が必要です。

 

 


唐辛子→煮魚、焼魚、カルパッチョなど
製品化された粉状の唐辛子、タカノツメ、「コショウ」と呼ばれる青唐辛子など、調理や素材に応じて選んで使い分けましょう。身体をあたため、胃腸を活性化させて消化吸収を促進し、食欲を増進させるはたらきもあります。刺激が強いので、食べ過ぎには注意しましょう。

 

 

↑ 焼き物 ↓