ちゃんこ鍋とは、大相撲における独特の鍋料理。
「ちゃんこ」とは本来、相撲部屋において力士(ちゃんこ番)の作る手料理をすべて指すが、その中でも特に広く知られているのが、このちゃんこ鍋である。

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↑ 陸奥部屋の朝稽古 ↓
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↑ 陸奥親方が経営するちゃんこ屋 ↓
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↑ 元大関 栃東のちゃんこ屋(現在は廃業して実在しない)
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↑ 両国国技館内二階の「雷電」一人用のちゃんこ鍋があります。
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↑ ちゃんこ時津波(現在は廃業して実在しない)
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↑ ちゃんこ時津波の大ジョッキは大瓶ビール1本分 ↓
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明治終盤、横綱常陸山谷右エ門以降の相撲部屋で鍋料理が広く取り入れられ、鍋料理は相撲部屋の食事の代名詞となっていった(ただし、常陸山以前にも力士が鍋料理を食べることがまったく無かったわけではない。

江戸時代までの力士の食生活については記録がなく、明らかではない)。
一度に簡易かつ大量に調理できるうえに栄養のバランスが良く、材料を加熱しているために伝染病や寄生虫などの心配も少なく、鍋を囲むことで連帯感も生まれるため、力士の食事に適している。

町の料理屋で食べられるちゃんこ鍋は、引退した力士が自らが育った相撲部屋伝統の鍋料理を一般向けに提供して広まっていったものである。

相撲部屋では1種類の鍋だけが食べられているわけではなく、ちり鍋やソップ炊きなどさまざまな種類や味付けの鍋料理が作られている。それら相撲部屋で作られる種類の鍋をまとめて「ちゃんこ鍋」という。

一般向けに出されているものは寄せ鍋風が多く、魚も肉も一緒に入るものがあるが、相撲部屋で作られる鍋料理には本来は魚と肉を一緒に入れる鍋は無い。

昭和40年代の角界において褌担ぎの力士は大抵ちゃんこの残り汁と漬物だけで米を掻き込んだといい、時津風部屋出身の蔵間竜也(元関脇)によると新弟子時代には米すら残っておらず煎餅で空腹を紛らわせていたところ兄弟子に「煎餅を食べるならチャンコを食べろ」と注意されたそうであり、当時はいかにちゃんこが重要視されていたかがうかがえる。

力士は食べることも仕事のうちや稽古のうちとされ、相撲部屋において食事の場であるちゃんこ場は稽古場の次に大事な場所とされる。

ほとんどの相撲部屋において、ちゃんこ場は稽古場の隣に存在する。角界には「ちゃんこの味が染みる」という言葉があり、これは入門した新米力士が稽古に励み、精神的にも肉体的にも相撲界に馴染んできた様子を表している。

力士が力をつけてくると、「ちゃんこの味が染みてきたな」というのが褒め言葉になっている。また、元横綱・初代若乃花の二子山親方の口癖は「おまえら、まだちゃんこの味が染みていないな」だったといい、力士が強くなるのは稽古とちゃんこの2つだとされている。

相撲部屋ではちゃんこ長の下でちゃんこ番の力士が作る。ちゃんこ番は大人数を擁する部屋では3~4人の班を作っての交代制であるが、小規模の部屋では全員で作ることもある。

普通は各部屋とも幕下以下の力士により番が務められており、稽古に支障が出ないように日替わりで担当する。また、相撲教習所を卒業したばかりの新米の部屋力士が担当することもある[16]。幕下以下の古株の力士が長を務め、献立の決定や買い出し、調理および給仕を取り仕切る。

ちゃんこ番は自分の稽古が終わると台所に入り、関取が稽古を続けている間に調理を進める。ちゃんこ番として料理の腕を磨いておくと、引退や廃業した後にその腕を活かしてちゃんこ料理屋を開業する道が開けるとされる。

外国人力士は得てしてちゃんこに馴染めない傾向があり、初の外国人力士である元関脇・高見山大五郎などはケチャップをかけることでようやく問題なく食べられるようになったという。

ブルガリア出身の元大関琴欧洲もなかなか米に対応できず、ヨーグルトやチーズをかけて食したと伝わっている。

ちゃんこに馴染んだ外国人力士であっても相撲の常識を覆す食べ方をする者が多く、横綱昇進後の朝青龍は自身の希望で部屋の食事に馬乳入りちゃんこを用意させたことがあり、若い衆は同じメニューを食するのに手を焼いたという。

ちゃんこ鍋は増量を行うための料理でもあるが、それ自体が肥満の原因になるのではない。力士の体重が増えるのは、あくまでも空腹で稽古した後にちゃんこ鍋をスープ代わりにたらふく食べてすぐ昼寝する生活が原因である。

鍋自体には野菜やきのこ類、豆腐、肉魚がバランスよく入り、煮込んでいるために消化が良く、身体も温まって代謝も上がる。このように、ちゃんこ鍋は料理として健康的なメニューと言える。
出典・ウィキペディアフリー百科事典。