左手の可能性。 | ゆるーい建築家のゆるーい日常。

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ストレスのない生き方を実践した結果。
物事に執着せず、形に執着せず、群れず、媚びず、礼すべき相手にはとことん尽くす。という生き方を日々過ごしています。
よかったら覗いていってくださいね。

昨日は妻がお世話になっているマッピングの先生つながりの
ピアニスト、天野由美子さんのリサイタルを聴きに家族で
すみだトリフォニーホールへ。
娘は嬉しさのあまり、やや興奮気味だったので外のホールでの観賞。

天野さん、桐朋音大を主席で卒業し、数々の賞をとりながらも
右手のコントロールが難しくなる、つまりピアニストとしては
致命的な病気をわずらい、そして克服。

ジャンルは違っていても、自分が同じ状況になったらどうなるだろうか、、、
描いているものを表現する手段が無くなってしまうなんて、想像しただけでも
それはそれは壮絶な壁だったはずです。


プログラムは、左手のために書かれた曲が演奏されました。
はじめは、吉松隆のアイノラ抒情曲集より。
吉松の作品は、村治さんの弾く「水色スカラー」しか知らなかったので、楽しみに
していました。アイノラ抒情曲集は、流れるようで、それでいて絶妙な調和の曲。
これが片手から生み出されているとは、、、

続いて、ライネッケのピアノソナタ作品179。ライネッケもほとんど親しみのない
作曲家だったので、興味深く聴きました。

休憩を挟んで、私と娘は外のホールに設置されたテレビで観賞。
スクリャービン、二つの小品 作品9。難しい曲かと思いきや、とても詩的なもので
した。それは、白ミサや黒ミサといった、重いものではなく、柴野さつきさんが弾
いている「LE SOUFFLE INFORME 」の雰囲気にとても似ていました。

最後はラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」。タイトルを知らないままに、よく
聴きなじんだ曲でした。ホールの外だったので、思わず鼻歌が、、、
ピアノだけであの壮大で、リズムも難しい曲を。しかも片手で。いや左手で表現出来
るなんて、、、



表現の可能性。深さ。いろいろなことを感じる時間。
そして、音楽に浸る至福の時間。