樽や零の協力もあって、いくつかのクエストをクリアすることができたジャギ夫。
そんな彼にギルドマスターから新しいクエストの受注を許可される。
はたして、彼は新たなる強敵を倒すことができるのだろうか?
「海竜ラギアクルス……雷属性を使う海竜種。水中ではかなり苦戦するかも……」
「確かに……ジャギ夫の装備じゃきついかもね」
「うぅ……できる限り頑張ります」
上級者二人の言葉に思わず身震いしながら小さく頷く。
水中では思うように動けないし、苦戦するのは必須だろう……
「打ち上げタル爆弾とか水中では有効。片手剣だから……」
「わ、わかってるとは思うけど、私を爆弾にするわけじゃないからね?」
「だ、大丈夫です。わかってますから」
零さんからのアドバイスを参考にいつもは持ち歩かない爆弾類のアイテムも持ちこむことにする。
最初のほうは動きを覚えるために補助に徹しておこう……やられてしまうよりはマシだろうし。
「では、受注しますね」
村長さんからも話は聞いていたが、水中に不慣れな僕には荷が重いだろうとのことだった。
今回は樽さんが同行してくれるからいいが、いつまでもそのままでもいけない。
「樽ししょー」
「師匠じゃないっ!というか、零は私より上でしょうが!」
「ノリ悪い……」
「うるせー!」
楽しそう(?)な二人のやり取りを聞きながら準備を済ませる。
なんでも、零さんは風邪気味なので水には入りたくないそうだ。
なんだかんだで一緒にクエストいったことないなぁ……
「いくよー!ジャギ夫ー!」
「あ、はいっ!」
「いってらっしゃーい」
零さんの間延びした声に見送られながら、僕達はクエストに出発した。
もはや見慣れたといっても過言ではない孤島でのクエスト。
しかし、今回はいつもと違って水中が主となるわけで……一瞬の油断が命取りになる。
「私も水中は苦手なんだよね……まだ慣れてないっていうか……」
「お、お互いに頑張りましょう!」
「そだね……」
若干いつもよりテンションの低い樽さんと共に北の水辺へと向かう。
ラギアクルスがいるとしたらそっちだろうという考えからだ。
「とりあえず……ジャギ夫は無理せずに距離をとっておいて。隙があったら早めに離脱を心がけながら攻撃してもいいけど」
「わかりました」
そう言葉を交わし、いざ水中へと向かう。
酸素ポイントの場所を確認しながら奥へ奥へと泳いでいく。
いつでも発射できるように打ち上げタル爆弾も用意しておいた。
「(あっちにいそうだからいってみよう)」
「(わかりました)」
ジェスチャーで意思疎通をしながら別のエリアへと向かう。
すると、そこには全身が鱗に覆われた青い竜がいた。
「グォオオオオオオ!!!」
「ぐっ!?」
とっさに盾を取り出したところでラギアクルスの咆哮を受けて大きく後退する。
水中では自由に動けない分、相手に分がありそうだけど……
「っ!!?」
思考をしている間にラギアクルスがかなりのスピードで突っ込んでくる。
反応が間に合わずに直撃してしまい、一撃でかなりのダメージを受けてしまった。
そして、通り過ぎて行ったラギアクルスを確認しようと後ろを振り向いた瞬間……
バチバチバチッ!!!
「ぐがぁっ!!?」
ラギアクルスの体から放たれた強力な電撃が僕の体を襲う。
そして、僕は意識を手放した。
…………
「旦那さん?大丈夫かニャ?」
「うぐ……」
ゆっくりと目を開けば、こちらを覗きこんでくるアイルーの姿があった。
どうやら僕は力尽きてキャンプ地へと運ばれたらしい。
「だ、大丈夫です……」
「それはよかったニャ。それじゃ、応援してるのニャ」
そう言って去っていくアイルーを見送ってから、僕はゆっくりと体を起こす。
応急処置はしてくれたようで、とくに不自由なく動くことができた。
「樽さんに手伝ってもらっているのに……情けない……」
自分の弱さを改めて実感し、絶望に浸りそうになる。
だが、それではいつまでもこのままじゃないか……
「僕は弱い……でも、いつまでもこのままじゃいけない……」
僕は決意を固めて、再びラギアクルスの元へと急いだのだった。
次回、第五話 決着の時
