涸沢の夜は、自分が宇宙空間に存在してると実感させられるほどの星空が果てしなく広がり、その奥行きのその奥に吸い込まれそうになる。もう色んな悩みや不安、趣味嗜好、生きている事さえどうでもよくなる。今この瞬間に全てがthe endになってもかまわないと思わせるほどだ。やはり天国に近い場所だからか。それでもまた朝がやって来る。そして今日も目覚め、登るべき山が目の前にそびえ立つ。
眩い朝の光の中、山小屋のかまどに火がおこされたのか、白煙が山の深い緑色に浮かび上がる。今日は山頂に“でん”して夕方までにここに戻る予定なので、テントやシュラフ、その他お泊りセットなどはそのまま置きっぱなして、最低限の荷物を背負って山頂を目指す。
涸沢カールが遠ざかる。
遥か眼下へとさらに遠ざかる。
疲れ、休み、振り返る度に景色の素晴らしさに息をのみ、また歩き出す。やがて山肌の緑色も少なくなり、岩だらけの進路の先に見え隠れしていた山荘にたどり着く。しばしの休憩。














