オートバイの旅は、いつもすこし寂しい。 -16ページ目

オートバイの旅は、いつもすこし寂しい。

タイトルは斉藤純氏の小説から拝借…だがまだ読んでない。しかしこのブログに綴られる、現実と空想とが交錯した過去から未来への記憶と記録は、このタイトルの如くどこか少し寂しげな装いを持つ、心象風景の覚え書きである。

船上からの夕景までにはまだ少し時間があるので、展望風呂に入る事にした。これもまた長距離フェリーの楽しみのひとつである。浴室の窓から見える海、その向こうに見える神戸の町、そして六甲のやまなみ…湯気で曇りがちな窓ガラスにお湯をかけかけしばし見入る。おっと、そろそろ明石海峡大橋だ。展望風呂を出て船室へ戻り、湯冷めしないように少し着込み、自動販売機で缶ビールを買ってデッキへと上がると、傾きはじめた夕日にそのシルエットを浮かび上がらせた明石海峡大橋が見えた。


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キレイだ。これがハートブレイクな旅ならきっと泣けただろう。今夕いちばんのビューポイントが近づくにつれ、デッキには人が増え始める。家族連れの子どもらは走り回り、恋人たちは夕日をバックに自撮り棒を伸ばし、寄り添う老夫婦はしっかりと手を繋いでいる。少し冷たい海風の中、缶ビールを飲みながら、ああ、そう言えばひとり旅だったんだなぁと再認識。


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明石海峡大橋…やはりデカイ!橋の上を車やオートバイで走る時にはデカイというより、どちらかというと長~い、もしくは高~いと感じるのだが、海上からその下をくぐる時はその大きさに圧倒される。あっという間に日が沈み、一気に気温が下がったようだ。寒くなって来たので、船内の展望スペースへ移動。夜の海と瀬戸内の町の夜景を眺めようと、窓際にある4人掛けソファに陣取った。ちゃんとテーブルもあり1人で利用するには少し贅沢だが、気にせずビールを飲んでいると、1人の男性に声をかけられた。「すいません。ここの席…ご一緒させてもらっていいいですか?」と。当然「どうぞ、そうぞ!」。すると「実は子供と2人で夕食のカップ麺を食べようと思いテーブルを探したのですが、どこも一杯で…」「ぜんぜん大丈夫です。どうぞ!」。お父さんの年齢はボクより少し若いくらいか…子どもさんは男の子で中学3年生だったと記憶している。船室には奥さんと娘さんがいるらしく、そこまで聞いたら、ああ、ゴールデンウィークの家族旅行かと思ったのだが、実はそうでもないらしい。以前にこのブログで少しふれた事があるが、2016414日震度7熊本地震。この家族は熊本に住み、お父さんは理髪店を営んでいるのだが、この地震で被災し避難を余儀なくされ、大阪の親類のご好意により、そのお宅で避難生活を送っていたんだという。ほんとに少しずつだが被災地も日常を取り戻しつつあるらしいので、熊本に帰るために家族でこのフェリーに乗ったという事だ。のほほんと1人でオートバイの旅を楽しんでいるボクには、何とも言葉がない。でも明日は我が身。色々と地震の時の様子やインフラ復旧の程度などの話を聞きながら時を過ごした。中でも子どもさんが早く学校に行きたいと言ってたのと、将来の夢はシステムエンジニアで、お父さんのお店、理髪店は継がないと話してくれたのを覚えてる。お父さんも子どもがやりたい事を見つけてくれてそれに向かって進んでくれる事がベスト!と応援しているらしい。2人はスマホのゲームで繋がっていて、時折2人でスマホをいじりながら、あーだこーだと楽しげにコミュニケーションをとっている。なんかこっちの気持ちがあったかくなってしまった。ボクは缶ビールがただの空き缶になってしまったので、一度船室に戻る事にした。とりあえず、いい出会いに記念撮影!


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船室に戻り少し横になったが、まだビールが足りないらしい。自動販売機で缶ビール買って再びデッキへ出ると、ちょうど瀬戸大橋が間近に見えて来た。空と海の暗闇の中に瀬戸大橋のネオンが浮かびあがり、まるで夜空の星座のように見える。いい感じだ!しかし寒い…ビールを持つ手が震えている。ここでカゼをひいては大変だなので船室へ戻り、毛布の中で明日の旅路に思いを馳せながら眠りについた。

 

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