山は、カリマンタン(ボルネオ島)の北部マレーシア領にあるキナバル山(4,095メートル)。
麓の熱帯雨林から登り始めて、頂上付近は花崗岩の広い岩場が広がっている
変化に富んだ山登りでした。
4,000メートルの頂上で朝日を見て、
その日のうちに海抜0メートルのコタキナバルの街に戻り夕日を見るというのは、
貴重な体験でした。

キナバル山の頂上付近
<登山準備と行程>
※もしかしたら、これからキナバル山に行く方の参考になるかもしれないので、
少し細かく旅程を書きます。
成田⇔コタキナバル間の航空券を早めに予約をして、現地に行けばなんとかなるだろうと、
何も準備せずにいた。出発の1週間前に、なんとなく本屋でガイドブックを開いたら、
登山には人数制限がある、とのこと。内容を細かく確認せずに、あわてて予約した。
アクセスしたのは、ステラ・サンクチュアリー・ロッジズのラバン・ラタのWebページ。
残りのベッドが2つしかなく、滑り込みセーフ。(全部込みでRM1500)
仕事が忙しかったこともあり、詳しい予約内容も見ず、とりあえず放置。
出発の前日夜中になって、予約メールをプリントアウトし、荷物のパッキングを開始、
次の日のフライト時間を確認し目覚ましをセットした。
さてさて、コタキナバルに夕方に入って一泊。
翌朝5:45起床、6時にホテルの横の24時間レストランで食事をし、
登山に関係ない荷物をホテルに預け、ノース・シティ・バス・ターミナルへタクシーで乗りつけた。
しかし、キナバル公園に行くバスがない。ここはビジネスパーソン、
学生旅行よりは懐が豊かなこともあり、タクシーでキナバル公園まで行った(RM110)。
“さー今日は、山に登るぞ!”
と意気込んで公園本部で予約表を受付の方に見せると、なんと、登山日は今日ではなかった。
その日はマシラウ・ネイチャー・リゾートに一泊し、明日の朝から登山をはじめる予約だったようだ。
本部では登山許可証などを用意していただき、マシラウまでの足も確保してくれた。
登山コースとしては、マシラウから登り、ラバン・ラタに宿泊し、帰りは来た道とは
異なるこの公園のゲートにたどり着くといものだった。
マシラウ・ネイチャー・リゾートは、料理もおいしく気の利いたリゾートだった。
翌日朝食を食べた後、8:30くらいにガイドさんを紹介してくれる事務所に行った。
ところが、僕に付くガイドがいない。30分くらい待たされた挙句、
“やはりガイドが見つからないので、あなたひとりで先に登ってください、
別のガイドが追いかけますから”
といわれた。

僕は了解してひとりで登り始めた。天気はずっと雨模様。
レインウェアを着たり脱いだり、レインウェアとトレッキングパンツを2重にはいたので、
足上げ動作に苦労した。リュックカバーをしているので、荷物の出し入れも大変だった。
気温は涼しいというか、山の中腹からは寒いくらい。結局、あまり休まずにゆっくり登って
6時間くらいでラバン・ラタに到着した。

ラバン・ラタでは、2段ベットが2つある4人部屋に通された。
その日は香港のカップルと僕の3人で部屋をシェアした。
夕食は午後4:30からビュッフェ形式。次の日は夜中に山頂を目指して歩き始めるので、
早めに就寝した。
午前1:45に起床、2:00から変な時間だが2度目の夕食をとった。
外はもちろん暗いし、雨が降っていて、寒くて、風もあり、登山日和ではなかった。
ここでたくさん食べなきゃ後でバテるな、と思い無理やり食事をかき込んだ。
そして初めて、担当してくれるガイドさんに出会った。
ちょっと準備に手惑い、午前3:00ころに出発。
残念なことに小屋から先が登山客で渋滞していた。ロープを伝って崖を登る箇所なども、
その手前で渋滞していた。見上げるとヘッドライトの列が山頂に向かって蛇行しているのが見えた。
少しいくと人がばらけた。僕のガイドさんは途中トイレに行ってしまい、僕は一人で進んだ。
雨風が吹き付ける闇の中で、ヘッドライトが白いロープを照らしていて、それを目印に
ひた進んだ。崖にへばりついて進むとき、ロープを握らなくてはならない。
しかし、ロープは濡れていて、防水でない手袋を濡らし、手がどんどん冷たくなってしまった。
雲の切れ目から満天の星空が見えた。下を見ると麓の町の灯も見える。
僕はそれらの中間の岩の壁をカニのように進んでいる。
風が冷たかったので、レインウェアの下に無理矢理ウィンドブレーカを着込んだ。
発熱できるように、エネルギーになればと思いチョコレートをかじった。
そうこうしていると、女性二人組みの登山者が、スペアーの手袋を持っていたら貸してほしい、
と僕に言ってきた。残念ながら持っていなかった。彼女たちもよっぽど手が冷たかったのだろう。
このとき、あとどれくらい歩けば頂上かもわからず、僕はあまり気持ちに余裕がなかった。
乾いたタオルを持っていたので、手に巻けばいくらか温かいはずだったけれど、
それを申し出ることができなかった。今でも後悔している。

頂上には6時過ぎについた。なんとなくあっけない感じがしないでもない頂上で、
写真を撮ってからすぐに引き返した。それにガスっていて何も見えなかった。

岩のテラス

岩の隙間に高山植物が生えていた。
頂上から降りはじめると、ようやくあたりが明るくなり、ガスが取れてきた。
今まで自分が登ってきたところがどのようなところなのか初めて目にすることができた。
頂上付近は、岩のテラスのようになっていて、それぞれの特徴的な形をしたピークが見えた。
それにしてもこんなに切り立ったピークが頂上でなくて、ほんとによかった。
もし、そこが頂上なのであれば、登らなくてはならないから。

ラバン・ラタに9:00過ぎに到着。
朝食を済ませて、10:00過ぎに下山を開始し、15:30頃に公園事務所のある
Timpohon Gate に到着した。この行程でも雨が降ったりやんだりしていたが、
かえって熱帯雨林の雰囲気が味わえたような気がする。雲霧がゴーっとやってきて、
暗いジャングルを湿らせる光景が今でも記憶に残っている。

登山ゲートから公園事務所までバスが迎えに来てくれた。
そして、公園事務所で、コタキナバル行きのタクシーを雇い(RM150)、
バス停で香港人の観光客2名を乗せ(RM50をいただいた)コタキナバルの帰途についた。
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夜中、寒くて、空気が少し薄いからか息苦しくて、後どれくらいで頂上なのか分からない中、
歩いていたとき、“あー、すごくちゃんと生きているな”と実感した。
これを機に、また海外登山に行く事になるのかは、
分からないけれど、また、行きたいと思う。
キナバル山の登山に関する所感はこちらをご覧ください。


合戦尾根
北アルプス表銀座
















