僕は昔8年間オーストリアの

ウイーンに音楽留学を

していた。

 

滞在6年目に夏期講習の

個人レッスンの通訳を

頼まれた。

 

世界的な先生方の

レッスンの通訳だから

凄く緊張した。

 

とある日本人参加者さんの

通訳だったが

失礼だけど僕が聴いても下手だった。

 

日本の一流音大出身だから

さぞかし上手いんだろう!と

思っていたが

なんと音階で音をはずす!

 

その方が師事を希望した先生は

世界的な名手!!!

 

1回目のレッスンで

その大先生はご機嫌が悪くなって

しまった。

 

そして2回目のレッスン!

今度は先生の方から

その楽曲の音階を

指定される。

 

なんてことない所で

また音をはずす。

 

それを聴いて

さすがにジェンタルマンの

大先生!!!!

怒った!!!

怒ったなんてもんじゃあない!

 

その怒りを通訳である

僕が訳さなきゃあならない!

 

「君の人生で最も失敗したこと。

それは音楽をやったことだ。」

 

言えない!!!

 

無理だよ!

 

ぼくがマゴマゴしていると

先生の怒りが僕に向かって来て

「タバタ君、ちゃんと訳しなさい!」

と怒られてしまった。

 

職務に忠実じゃなくちゃあいけない!

 

僕は真面目に訳した。

 

辛い!

こんなに辛い事を

言わなくてはいけないとは。

 

僕はズタズタに

傷ついた!

 

ただ僕はレッスンの通訳

しただけなのに。

その生徒さんその日を最後に

来なくなった。

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今年の1月の

70時間に及ぶ

我が家での

ショパン音楽大学教授による

個人レッスン。

 

通訳の方々は素晴らしかった。

殆ど同時通訳の世界!

勿論、

レッスンは素晴らしかった。

歴代のショパンコンクール

3位のポーランド人の

先生が2名!!!

ショパン音大って改めて

本物と思った。

僕はレッスンを聴いているだけで

ショパンの音楽に

酔いしれてしまった。