2009年に早川書房から出版されたものが、2011年に文庫化されたものです。カズオ・イシグロさんの作品を初めて読みました。
本来著者は長編小説を多く書いてきたようで、初の短編集という言葉も紹介等で読みました。音楽に関わる人たちをめぐる五つの物語で構成されています。まず、面白い、そして上手い。
ノーベル賞察作家をつかまえて言うのはおかしいけど、才能ありです。
私はニューヨーカー誌の短編を翻訳で読むことが好きですが、似て非なるものです。それは深さだと思います。
確固としたものだと信じたい男女の関係のもろさや、信頼と不信を行きかう振り子、特別な関係等を見事に描き出しています。
私は「思い出話形」が秀逸に感じました。
もう一つ選ばれる人かどうか、名声と才能の関係について、芸術と世間について、ふとヘッセを思い出しました。
あっという間に読んでしまいましたが、すべての作品にじゅうぶん満足しましたし、感心しました。
この作品との出会いに感謝します。
