サブタイトルに「加賀藩御算用者」の幕末維新」とあります。
著者は若手の大学教授で、偶然見つけた資料が長期間にわたり、克明に記録されていたため、この本が生まれたようです。明治維新の混乱時代に多くの武士が直面した悲哀や、江戸後期になって親戚づきあいや格式を守るため陥った貧困「武士は食わねど・・」的な生活などが、具体的な数字を示すことに酔って、わかりやすく活き活きと描かれていて面白く読みました。
ちなみに映画化もされたようですが、見ていません。
記録を残した猪山家は代々帳簿付けを職務にしている家柄で、細々と暮らしていましたが、維新の混乱期に帳簿付けと食糧確保の天賦を認められ、新政府にヘッドハンティングされます。そこから生活は大きく変り、海軍省に入庁し、今で言う国家公務員上級としてキャリアを積んでいきます。
そのときの年収が今の価値で3千万ほどあったと記述されており、今より役人は高給を食んでいたことがわかり興味深かったです。
親戚一同はその羽振りのよさに借金や無心をしたと書いてありますが、さもありなんと思いました。
読んでよかったと思います。