空海はずっと昔の人で大人で天才で、その出現は日本史上でも特筆されるところです。
日本史では真言宗を興した宗教家として、平安仏教では最澄と並び称される人物であることはいまさら説明するまでもありません。
空海を司馬遼太郎が描くわけですが、当然、司馬さんも思い出話的に自分を語っています。そして密教に対する考えを展開しています。
あとがきで、仏教用語を極力使わないようにして、苦労したと書かれていますが、読み終えてああそうだったのかと思いました。すらすら入る内容は作者の配慮だったのかと後から気づいたというものです。
司馬さんの空海との間の取り方は、非常に冷静で、熱く信仰するのではなく、時にハッタリをかましたり、意地悪く対応する空海の性格を指摘しています。
それは空海も生身の人間であり、絶対的な信仰の対象だけでない空海を描きたかったのだと思います。そしてそれは成功していると思います。
最澄とのライバル関係はとても面白いと思いました。自分の持ち帰った密教に絶対の自信を持つ空海、先んじて密教を伝え国の手厚い保護をうけ台頭する最澄。自分の密教に足りないところがあるとわかって、素直に教えを請う最澄
にすげない対応の空海。
そんなことがあったのだと教えられました。
読むのに時間がかかりましたが、面白い本です。
どうぞ読んでみてください。