老眼になりつつあるのでしょう。字が小さい文庫本を読むのがつらくなってきました。
ずっと文庫ばかり読んできたのに、まだ読んでいない文庫本は山ほどあるし、これからもでてくるのに、どうしましょう。
本題に入ります。小説日本銀行は戦後の混乱期の日本銀行の様子を描いています。日本銀行に勤める津上は東大卒のエリートで、将来有望な秘書課に勤務する若手です。一年先輩の長谷川、同僚の東園寺とその妹喜代子と日銀総裁が1人の理事の視線から描かれています。
勉強家で、理想に燃える津上は、父が残した遺産を自分が勤めている日銀が、貯蓄に励むよう勧めているからという理由で、定期預金にしてしまいます。みんなの予想通り、インフレの勢いはすさまじく、遺産は見る間に価値がさがり、大学教授の妻であった母は、病気の治療が十分にできないし、妹はかつぎ屋にならざるを得ない状況となります。
東園寺喜代子と恋に落ちるものの、上司の横槍などもあり、破局を迎えます。
戦後間もない日銀の様子を描いていますが、現在の状況とも似ているのは、財政健全化ができてないところや、権力闘争に明け暮れる政治家や官僚の姿でしょうか。
これまでの城山作品には、恋人たちの描写がほとんどなかったのですが、この作品には津上と喜代子のデートシーンはとても新鮮でした。
あと、「あの男」と作品中何度も登場する男は、最後まで「あの男」のままであり、間接的な登場ながら、作品中の「わたし」とともに、存在感があり、気になる登場人物でありました。
まだ、城山作品を読み続けます。