桃森先生の作品は過去に2つ実写化されている。
「ハツカレ」と「悪魔とラブソング」。
私はファンとしてどちらも実写化するのがすごく嬉しかったし、これがきっかけで先生の作品を読む人が増えるかも、と思うのも嬉しかった。
「ハツカレ」はあまりにも楽しみで、学生だった頃の私は試写会に応募して見にいきました。
その時、先生は原稿が忙しくて試写会の現場に来られていなかったんです。
私は「漫画家って本当に忙しいんだな、自分の作品が映像化してるのに」と思ったのですが、今はSNSにより
漫画家はいつも締め切りに追われているということがかなり知れ渡りました。
そして「ハツカレ」のドラマは、すっっごくいい出来だった。
原作ファンの私が見て、めちゃくちゃ満足する出来だった。
チロも、はっしーも、イブシも、何よりその場面が漫画のままだった。セリフも同じだった。
漫画と映像の間合いの差はあるから、特にコメディ部分の読み味とかは違うんだけど、はっしーの友達の人数が増えて名前がつけられてること以外はほぼイメージを崩さないものだった。
今思えば豪華な俳優陣だったし(窪田正孝さん、水嶋ヒロさんなど他の皆さんも後の売れっ子、主題歌はトイレの神様でヒットした植村花菜さん!)何より、監督が作品をちゃんと愛して、好きでいるって感じが伝わってきました。
実際、GYAOの視聴率で1位をとったんだよね。
「ハツカレ」は映像化として成功だったと思います。
そして「悪魔とラブソング」これはかなりイメージが違った。主人公マリアのビジュアル、髪型、表情などからしてかなり別人のようだったし、脚本もセリフなど違ったり、ちょこちょこ原作には入っていたコメディがバッサリなくなり、テンポも遅くなり、
ずっとシリアスな雰囲気だったのも違和感の原因としてある。何より「ラブリー変換」の言葉が使われなかった。
でも見ていて、原作と違うけど嫌な感じは受けなかった。すっごいシリアスになったなーとは思ったけど、なんていうか
原作で伝えたいことがちゃんとドラマにもあるように感じられたから。
一番良かったのは友世を演じた山之内すずさん、そして神田を演じた奥野荘さん。
なんだけれども、主人公もビジュアルは違うけど、それぞれのキャラがちゃんと原作のキャラを踏襲しよう、表現しようっていうのが感じられたし。
監督がとにかく主人公を美しく撮りたい撮りたいって思ってそうとは感じましたが笑
でも、嫌な感じはなかった。
桃森先生はどちらのドラマにもすごく感謝と「ドラマを見てください」ってコメントをされてる。
ファンとしてものすごく穿った見方をするけど、悪ラブの方は「原作と違うのは承知で、いいドラマだから見てください。そして違いを論わないでね」って感じも受けた。
マリアに限らず、性格も喋り方もビジュアルも個性的なキャラが主人公の場合、それを映像化したら違和感の方が先に立つ。
でもずっと見ていると、作品の持つメッセージやテーマがちゃんと踏襲されていれば、ファンは受け入れられるもんなんです。
悪ラブがそうでした。
桃森先生はある意味、ドラマと自作品を分けて考える人なのかもしれないし
もしかしたら脚本家さんや監督さんなどスタッフに恵まれたのかもしれない。
けれど、表には出さない部分で抱える闇もあったのかもしれない。
ないのかもしれない。
私は「200m先の熱」がいつか実写化すればいいのにと思っている。
動く三人を、特に泣き虫でヘタレな真霜くんを実写で見たいのだ。
38歳なのにかわいい平良さんを見たいのだ。
ちょっと変態なきっかを見たいのだ。
でも、半分はこのまま原作を読んでいるだけでもいいと思っている。
勝手に複雑な気持ちになって、ぐるぐるしちゃってまだ22話の感想が書けていない。
桃森先生は今の時代に珍しくSNSを何一つやっていない。実は昔は私がサイトを作っていることも告げてお手紙を出したりしていて、何ヶ月か遅れだけどお返事ももらえていた。
でも数年前からお返事が来なくなって、私からお手紙を出すことも無くなった。
このブログで感想を勝手に書いていれば、気が向いた先生が見てくれることもあるだろうと思いながら。
先生はインタビューで「200mは読者がいなくても描き切りたい」ということをおっしゃっていた。
もしかしたら今、先生は外界をシャットし、作品に純粋に向き合っているのかもしれない。