Cookie7月号、200m先の熱 18話 ネタバレ含む感想です!
ほしいものは取りに行く!平良さんが本気で行動にうつしました。
いや〜〜なかなかエッジの効いた話になってきました!やはり桃森先生、ふわふわの幸せなだけでは終わらないですね。現代のリアルな側面に切り込んでいく一面が見えましたよ。
前回の17話、お花見からの続きです。17話と18話は同じ日の出来事でした。
そして17話で二宮さん、司波さん、鹿西さんそれぞれの過去が少し出てきましたが、今回の18話は前半まるまる鹿西さんの掘り下げ(と同時に真霜の掘り下げ)って感じでした。
38歳アラフォー、結婚まで考えた人との破局、真霜へのいらだち、なにより結婚観の平成と令和の違いが浮き彫りになっていて。
桃森先生がインタビューで「今の時代を生きるということを描きたい」とおっしゃっていたように、現代の結婚のあり方という側面が表現されていました。
ーーー結婚観の違いーーーー
鹿西さんはキャリアウーマンではあるけど、バリバリの第一戦で勝ち続けてきた人というわけではなく、社内政治に負けてそこそこの立場に甘んじてるという人。勤めてる会社も広告代理店ではあるけど、大手(電通とか)というわけではない。だけど一般から見たら十分キャリア女性だし、それなりに給料もよさげ。だって35歳でこのタワーマンションをローンで買えるくらいですからね。審査に通るってことだもん。独身で十分やっていける人。
この絶妙に「凄すぎない人」あたりがなんともリアルですね〜。こういう人が一番、現状に対しての不満があるのかもしれない。もっと出世できたはずなのに、元彼にそれを邪魔された。子供を産める年齢も過ぎようとしている。
婚活女性がハイスペ男子ばかりを狙うことが最近は揶揄されていますが、その女性たちの理由はおもに「楽がしたい」「お金があると安心」「子育てをしっかりしたい」という理由からです。あとは「尊敬できるから」ってふわっとした理由とかね。でも鹿西さんの場合は「自分よりハイスペ男性なら嫉妬されずに済む」「自分のキャリアを邪魔されずに済む」という理由。ここが間違ってるんですよね〜〜。
鹿西さんが狙うべき男性は「年収が低くてもいいから、家庭的で女性を応援してくれる人」なんですよ。まだそれに気づいてないみたいだし、もしかしたらいい感じになりそうな二宮さんは33歳という5つも年下のバツイチ証券マン。まあモテ男子ですよ。二宮さんは鹿西さんのキャリアを邪魔するような人柄ではないけど、この二人が結婚して噛み合うかっていうと、そうではない気もしたり。どうなるんだろう。まあまだ恋人にもなってないし、なるのかもわからないけどさ。
で、面白いのが、きっかが鹿西さんに共感しているということ。いつもほわ〜っとしているのに、ここまで怒ったところ初めてでした。2巻で真霜くんの勝手な言い分に怒るシーンがありましたけど、今回ほどガチではありませんでしたからね。
きっかはマインドのみバリキャリの側面があるんですよ。自立してるし、よっかかりたくない。
でも実態は高年収ではない。
プライドが高いわけでもないから、年収が高かったり仕事ができる人にたいして、素直にリスペクトし尊敬できる。
現代の女性の理想的なマインドじゃないかなと思うんです。ただし、あくまでも理想、なんだよね。
きっかだって落ち込んだりうまくいかなかったりする事あるだろうし、何より年収は低め。過去には両親も亡くしています。そういう落ちてる時に手を差し伸べた人こそが、本当のパートナーなんだよ、きっか!!!!(ゴリ押し)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
前回の17話で、世代別の結婚観の違いも出てきました。
・23歳という若さの司波さんは「自分と同スペックの女性と結婚したい、男女は対等。恋愛と結婚は別だから条件をみるのは当たり前」という。
・28歳の真霜くんは「好きになったらスペックとか条件とか関係ない」そして夢は好きな人との子供を持ち、家庭を作る事。おそらくきっかとの結婚しか視野にいれておらず、条件から入る婚活はしないし、きっかがダメなら独身でいそう。
・33歳の二宮さんはバツイチ。大学卒業して就職せず専業主婦になった妻と破局し、それからは独り身。自分の仕事への理解が少なかった元妻とのすれ違いが原因。でも今思い返せば、自分にも思いやりが足りなかったと反省している。
・38歳の平良さんは仕事第一。夢中になったら彼女との連絡も途絶えがち。だけど彼女には与えられるだけ与えて、自分が養っていくのが普通だと思ってる。ギブ&ギブの精神で、子供が欲しいとかいった願望はこれまで一切でてきていない。
この三人もなんとなく世代=時代の違いが出てるように思います。
ーーー真霜という男ーーーー
17話で実は真霜が外資系の投資銀行に新卒で入っていたけど、わざわざ転職して百貨店(丸川屋ホールディングス)にきて、きっかに仕事をまわすようになったことが明らかになりました。その理由がおそらくきっかの両親の死なんだけど、そこはまだ詳しくは触れられていないんですよね。
けれど、転職の理由をはっきりと明言しないせいで、鹿西さんはそれが「舐め腐ってる」と感じてしまいました。
「機会損失男」
という不名誉な称号まで真霜に与えてしまいますwww
側から見れば確かにそうとも言えるんだよね〜これ。
楽な方に逃げて、今はそれでいいって思ってても、簡単にキャリアを捨てたり海外出張が多いからと外商を断ったり、そういったことは後から後悔することになる。
まさに鹿西さんが今おちいってる精神状態に、いつか真霜もなるはずだ、バカな男だと。
だけど、このあときっかがいいます。
ましもくんは努力の人です
昔からずっと 一人でコツコツ頑張ってた
すごく大変なことをさらっとやるから気付かれにくいけど
日々ちゃんと努力してたから 結果も出せてた
今でも高いプロ意識を持って
今できることで最大限に努力してる
そんな人が後悔するわけない
後悔する暇もないほど一生懸命なはずだから
図星をつかれた鹿西さんは、ここから心の闇を吐露していくことになるわけですが。。。
ただね、きっかは本当に真霜くんが後悔なんてせず、今を一生懸命に生きてる人だって思ってて
それは間違っていないし真霜くんも自分が選んだ事だって言ってるんですが。
同時にきっかはどこかで不安に思ってる。「私が真霜くんの邪魔をしたんじゃないか」と。
話が進むにつれ、時々でてくるきっかの「真霜くんはこんな人」の思いがあまりに直球で真摯で、それはどう見ても肯定的で愛情すら感じます。
だからこそ、思ってしまうんだよなあ。
これは最初からきっかと真霜くんの物語なんじゃないか
と。(真霜推しのフィルターかもしれないが・・・)
それは二人がくっつく物語かもしれないし、くっつかないままそれぞれが自立する物語かもしれない。きっかは平良さんと結ばれて、真霜とは違う関係を構築するのかもしれない。
桃森先生がインタビューでこうもおっしゃってました。「自立するとはどういうことなのか、をふわっと考えながら描いている」
真霜くんはめちゃくちゃ頭がいいし、外銀に入れちゃうほどエリートだし、転職先でも早々に20代で係長になるほどできる男。
だけどね、彼は学生時代からずーっっと、価値基準が「きっか」なんだよね。
だからこそもったいない転職もサクッと決めたし、なにより前回17話のこのセリフです。
結婚して、子供をつくって、父親になる。
きっとものすごくいいパパになるし、妻(きっか)をめちゃくちゃ愛し続けるし、家事育児もすっごくやるし、それが夢でもある人。
でも自分の出世は?自分の自己実現は?一人の人間として自分自身だけがやりたいことは?
それなりに出世欲はあるし着々と目標を定めてクリアしてってるけど、根本的にはそこ、わりとおざなりだよね。実はどうでもいいよね、ましもくん。
立派な社会人だけど、真霜くんは本当に自立していると言えるのだろうか?というのもストーリーに絡んでくる気がします。
でもさー、マインドがバリキャリのきっかと、マインドが家庭的な真霜くんて意外とお似合いな気がせん?せん?
ねえするよね?(ゴリ押し)
ーーー平良という男ーーーー
そしていよいよ今回のメインシーン平良さん!前回の↑の真霜くんに対抗したようなセリフをきっかに告げます。
完全に真霜への対抗心ですね!!!!
だって真霜のセリフに被せてきてるもの。
あいつが紬さんにできたことは、僕にだってできる。やってみせる。
その対抗心の方が先にきてますよね。
そして、その対抗心はなんとなくではあるものの、きっかに見抜かれている。
同居を断ったきっかに、平良さんはきっかの仕事がやりやすい環境作りをして、金銭的負担と時間的負担をしてまで「一緒に住もう」と再度もちかける。整えて、外堀を埋めてまできっかを手に入れようとする。
平良さんが本気になったらここまで強引なことができるわけですよ。
きっかのために転職までして支えた真霜への対抗心。ぜったいありますよね。
男性の心が女性から離れない理由のひとつに、どうしたって「ライバルがいること」ってのが強力に存在するわけで。つまり、闘争心を刺激されること。
で、きっかのモノローグにつながる。
私はまだ気づいていなかった
ひららさんの根本はヘタレじゃないこと
想像以上に 男の人は闘争心があるんだってこと
そしてこの同棲が 予想もしない形で中断してしまうんだってことを。
えーーーーーーー!!!!!!!
中断!中断って!
次回から「ドキドキ同棲生活inタワマン最上階」が始まりそうだというのにこのぶっ込み具合。。。!
桃森先生!!!やっぱすんなりとはやってくれませんね!続きが気になりすぎるんですけどwww!!!
平良さんが愛情だけできっかを手に入れようとするんじゃなくて、そこに男性の矜持とか闘争心とかも被せてくるあたり、ほんっとニクイっていうかリアルっていうか、こういうとこ読み応えあってまじで大好き。
ほんと先がよめないです。
来月はとうとう「隣の微熱」最終回。ザマーガレットの最終号が出るんだよね。
それも楽しみだけど、真霜くんの高校時代が終わりかと思うと寂しいなあ。
●ファンサイト●
漫画家の桃森ミヨシ先生、鉄骨サロ先生の非公式ファンサイトです。最新の雑誌掲載情報、実写化情報、先生のインタビュー記事、動画、過去作品アーカイブ、感想ページなどできうる限りの情報をのせています。
●桃森ミヨシ先生のインタビュー/集英社オンライン●
●桃森ミヨシ先生/鉄骨サロ先生のサイン会レポート●