中西輝政・高森明勑共著「古事記は日本を強くする ~神話がわかれば日本人がわかる」より、印象に残ったところの紹介③
今、日本が差し迫って求められている問題は、「日本人って何か?」「日本とは、どんな国か?」ということを知りたい気持ちに正面から答えることではないだろうか。
確かに財政危機や安全保障など、いろいろな問題を日本は抱えているが、そうした個々の問題に対症療法的に対処するより前に何を置いても、日本人としてのアイデンティティーを取り戻すことが先決なのである。
「日本人とは?」という問いに答えるには、「古事記」を避けて通ることはできない。
この壮大な神話が生まれた背景の一つには、日本列島が持つ地政学的な特徴がある。
日本列島はユーラシア大陸の東の果てにあり、もともと大陸とは陸続きであった。
その時代には非常に多くの多種多様な遺伝子を持った人々が、日本に入って来たといわれている。
氷河期が終わってから海面が上昇し、日本列島は大陸から切り離された。
これら様々な素質を持った人たちは、長い年月をかけてじっくりと融合を遂げていく。
その結果、日本民族という「等質性の高い」民族が出来上がるに至った。
また神話の中に北方系、南方系のそれぞれの神話が存在することになった。
ところで他国を相手にする場合に、どの国もどうやって自国の安全を確保し、自らの国益を確保するかを考えるものである。
その第一歩に「相手の背骨は何なのか」を詳しく観察するところから始めている。
それがわかれば、その背骨をえぐり取って、相手を改造したり破壊したりできるからである。
米国は、日本にとっての「背骨」が「神話」であると、的確に把握していた。だからGHQは「神話」に手を出して来たのである。
米国のリーダーたちは明治以来、飛躍的に発展している日本という国の、あの活力は何なのかと考え、それを研究するためにシンクタンクに特別なグループをたくさん作った。
そこで発展した日本を抑えるにはどうしたらいいのかという問題に、あれこれと戦略をめぐらせた。
そこで出てきたのが、「日本の精神的なバックボーンを完全に抜かなければ、いつ蘇るかわからない」という結論であった。
そして、神道こそ「日本の精神的な背骨である」と考えた。
日本の教育や社会、風俗、男女関係など、あらゆるものの後ろに神道があることに気づいたのである。
二度と米国の脅威とならぬように日本を抑え込むには、アイデンティティー政策、文化政策しか選択肢はないという議論に達し、神道や日本語の専門家を招いて秘密裏に神道を徹底して研究した。
米国はすでに開戦前から十分承知した上で、日本占領の後は戦後教育から神話を消す、という日本人の精神改造計画に着手したのであった。