中西輝政著「日本人として、これだけは知っておきたいこと」より、印象に残ったところの紹介④



あの敗戦と占領は、日本人に強い負の情念と全否定の衝動を引き起こしたのだった。

 


憎い米国であったのだが、ソ連に比べればまだマシだという気持ちもどこかにあった。

 



それほどソ連はひどかった。


ソ連軍は戦争末期、満州にいた日本の民間人160万人に暴虐の限りを尽くしまくったのだ。

 


更には、捕虜でない民間人を含む64万人の日本人が捕虜収容所に連行されて、何年もの間、シベリア鉄道建設などの苛酷な強制労働に従事させられたのである。

 

 


異郷のツンドラの地で命を絶った犠牲者は10万人とも、もっと多いとも言われている。



それだけソ連軍はひど過ぎただけに、米国軍がよく見えてしまったところがあった。

 

 


それに日本占領に当たって「子どもたちがいたらチョコレートやチューインガムをやりなさい」という指導をアメリカ軍はしていたという。

 


それには理由があって、「アメリカの民主主義がいかに素晴らしいか」という宣伝の一環であった。

 

 


その後も非常に巧妙なやり方で日本人を取り込んで行ったので、戦前を全否定する「歴史観」を改める機会さえ、日本人は奪われてしまった。



未曾有の敗戦で虚脱状態にあった日本人に、多くの嘘が次々と注入されて、占領政策を進んで受け入れるようになった日本人も多かった。

 



そういう意味でも「戦後、日本は嘘から出発した」という事実と、その深刻さをしっかりと認識する必要がある。

 


もうこれ以上、日本人は自分自身に嘘をつくことを続けてはならない、崖っぷちに立たされているからである。

 

 


真っ先に上げられる嘘が「終戦」という言葉。


「敗戦」を「終戦」と言い換えることで、敗戦という事実を薄め曖昧にされて、やっと終わって良かったという気分にさせられてしまった。

 

敗戦の日を、終戦「記念日」にすることもあり得なかったはずである。

 



次に「進駐軍」という言葉である。

 

敵国の軍隊が乗り込んで来たのだから、明らかに「占領軍」なのである。

 

それを「進駐軍」と呼ばせることによって、敵国の言いなりになることへの抵抗や警戒心を弱める大きな効果があった。