松村劭著の「スイスと日本~国を守るということ」

~「永世中立」を支える「民間防衛」の知恵に学ぶ、より
印象に残ったところの紹介③

 

スイス政府のスゴイのは、永世中立国を選択したものの国際情勢の変化に伴い「永世中立」で生じる矛盾にも目を光らせていた点だ。


そして、この「永世中立」という国家戦略はもはや金科玉条ではなく、憲法を固守して国を衰弱させる愚者はいないと言い切る。

 

 


日本の凝り固まった姿勢とは大違い、さすが国防の何たるかを熟知した柔軟な対応ぶりなのだ。


その代表的な例がスイスの国連加盟であり、スイス兵のPKOへの参加であった。

 



あるとき連邦政府は好機とみて中立政策を放棄し、EUの一員になる案を国民投票にかけてみた。


その結果はどうであったか。


スイス国民は住民集会と国民投票という、国を統治する伝統・文化を捨ててまでしてEUに加入するのを拒否した。

 


EUという大きな世界観で、EU議会という遠い人たちによって、自分たちの社会の生き方を決められたくないという強い意思表示であった。

 

それにスイス国民は、EUの将来性も疑っていた。

 



第二次世界大戦中、スイスはファシズム国家勢力に囲まれてしまって、ドイツにどうしても譲歩せざるを得ないときがあった。

 

スイスに加勢する国は皆無だったので、独立を維持するギリギリの選択だった。

 



大陸国家スイスの生存基盤は大陸にあるが、海洋国家日本の生存基盤は海外貿易にある。

 


だから航路と貿易相手先の平和維持は、日本が生存する上でもっとも重大な関心事なはず。

 

 

 


もし航路や石油輸入先が戦乱に巻き込まれたら、国内経済が大混乱して立ち行かなくなるのは必死である。

 


だから、生存し続けるためには、どうしても航路と貿易先の戦乱を阻止しなければならない。

 



以前まではアメリカ軍が守ってくれたから事なきを得たが、今後はもうアメリカに頼れなくなってしまった。


それに、ここに来て大陸国家の隣国が膨大な軍事費をつぎ込み、世界の覇者を狙っている状況にある。

 

 


問答無用な隣国を相手にして、日本は好むと好まざるにかかわらず強力な軍事力が必要となって来るのである。

 


なぜ、そう言い切れるのか。

 

「大陸国家と海洋国家の地政学上の衝突」なる構造的な原因により、隣国と日本とは永遠に和解できないから。