いえづくりの中で建て主を最も悩ませるのは設備機器選びかも知れない。

デザインがよくなり種類が増えただけでなく、
こんなことまでできるのかと驚いてしまうほど色んな機能が付いている。
音声を変えたり録画のできるドアホンや機器自身が掃除をしてくれるエアコン、
入ってから用を済ませて出てくるまで介護老人並みに扱ってくれる便器など、
ちょっと考えても両手ぐらいはすぐに浮かぶ。
機能を知れば知るほどあったらいいなと思えてくるから悩ませるのだ。

でもよくよく考えると、家電製品や設備機器類は日進月歩で進化させないとメーカーも
生き残れないから、欲しがりそうな機能をいっぱい付けてあの手この手で攻めてくるのだ。
何を捨てて何を選ぶかは当然のことだが設計者ではなく建て主に委ねられることになる。
ただ設計者として少しアドバイスできるとしたら、
5年先10年先にはまったく違うデザインや機能のモノがはやっているだろうということと、
便利なものの持っている恐さのことも考えて選んで欲しいということかな。

いえづくりの中に入れたい大切なモノって言っても、
しあわせの基準も人それぞれ違うし見つけるのは難しいけど、
案外普段の生活のたわいもないところに転がっているように思えてくる。
本当に大切なモノは失くさないとわからないものかも知れない。

人生って、しあわせって、なんなんだ。
学生時代に深夜放送で流れていた詩(うた)を思い出す。

 かかとのすり減った靴で歩くと
 世界がゆがんでしまったように思えたから
 新しい靴を買いました。

 着古したコートでいると
 木枯らしがこころの中まで染み入るように思えたから
 新しいコートを買いました。

 鏡のなかの自分がもう少し美しく見えたらいいと思ったから
 新しい口紅を買いました。

 そして・・・
 これからの人生を新しくやり直したいと思ったのですが
 そのためにはいったい何を買ったらいいのでしょう。


(S.Tomita)