「キッズタウン東十条」が新建築6月号に掲載されました。
3月に竣工した「キッズタウン東十条」
が新建築の6月号に掲載されました。
今月は「保育のための空間」というテーマの特集号です。保育園、幼稚園、こども園など、さまざまな新しい保育園の試みが紹介されています。自分以外の建築家の文章を読むと、なるほどそういう考えもあったか、と新たな発見があります。建築を作ることはいつでも発見に満ちていておもしろいです。
私が新建築に掲載した設計主旨を転載します。
「すべての場所が遊び場であるように」
この建物は、JRの土地に民間が建設と運営を行う「JR東日本グループ子育て支援事業」の一環で計画された、定員90名の認可保育園である。駅前狭小地で保育室面積を確保するため、RC造の5階建となった。園庭もない厳しい環境で建築として何が可能かを考え、建物全体を遊び場にすることを考えた。
繊細でダイナミックな成長期にある子供たちの遊び場に大切なものは、風や自然光、温度や湿度、においなど、刻々変化する自然を全身で感じられる環境だと思う。2階から4階に配置した保育室は、子供たちがいつでも外に出られるように、建蔽率に入らないバルコニーを南西側全体に張り出させた。デッキ貼りの眺めの良いバルコニーは、子供たちに人気の遊び場になっている。また、園庭の代わりに設置した5階の屋上広場から3階までを、連続する段丘状の屋外遊技場としてデザインした。砂場、すべり台、クライミングウオールなどを階段にからめて造作し、立体的な外遊び空間が実現した。
保育室は階ごとに乳児・幼児・遊戯室+児童デイサービスに分かれており、各階は間仕切り壁の無いひと繋がりの空間で、段差や水回り、EVコアなどによってゆるやかに分節される。高さ85cmの可動収納家具を使って「食事」や「昼寝」「おもちゃ遊び」など、細かなゾーンを作りだすことができる。
ある幼児教育家によると、少し高いところから見下ろすという行為は子供の脳を発達させるらしい。子供にとって階段や段差は、大人の危険意識とは別の、新鮮で刺激的な体験になりうる。同様に吹き抜けを見下ろす窓や、町の風景を眺める窓も、子供の目線にあわせて数多く配置した。その結果道路側のファサードは、床レベルに近いFIX窓と通風用の高窓が、リズミカルに並ぶ特徴的な外観になった。
この保育園が、多様な遊び場や好奇心を刺激する環境を提供し、子供の発達や成長に寄与するだけでなく、大人も新鮮な喜びを体験できる場所として、豊かに育っていってほしいと思う。
