空を見上げる家~「kokage」 見学日記
先日、建築家の末光弘和さん(SUEP.)にご案内いただいて、我孫子の「kokage」という住宅を見せていただきました。住宅建築賞や東京ガスの環境建築賞を受賞された、とても斬新で美しい住宅です。
上部に向かってゆるやかにカーブした特長的な壁の中には、床暖用のパネルが埋め込まれており、その面に井戸水を流すシステムを採用して、夏の冷却効果を井戸水によってまかなっている、という設備設計が秀逸で、一年を通して、壁の温度は21度程度を保っているそうです。
輻射熱の冷暖房が気持ちよい、ということは、最近注目されるようになってきましたが、躯体を暖めたり冷やしたりする熱源を何にするか、にはいろいろな方法があります。電気をつかって暖める方法、ガスボイラーで温水をまわす、等が多いですが、この住宅ではそういうアクティブな設備を使うのではなく、自然の井戸水で、一定温度を保たせる、というアイデアがオリジナルです。
壁の向きによって、その場所を規定するデザインはすばらしかったです。 空間のデザインも、新しく、豊かな広がりのある空間でした。その理由は、「部屋」という概念でなく、木陰のように、涼しい井戸水が流れる1.5m巾の壁面が、いろいろな向きに立っているということで、その付近に「場所」が生まれ、それぞれの場所の連続が、少しずつ視線を変えながら連続している、そのようなデザインになっています。天井高さは3.mあることも、この家を何か「住宅ではないもの」に感じさせます。屋根には大胆なトップライトがたくさんあいているので、ついつい上を見上げてしまうので、これは「明るい気持ちにさせる家」かもしれない、と思いました。
トップライトには、夏は「すだれ」を外から載せるそうですが、そういうローテクな作業も、建て主の方にとっては楽しい体験のようで、とても満足そうに住み心地を語っておられました。
家の中にいるのか外にいるのか、わからなくなるような、開かれた感覚をつくりながら、温熱環境としての快適さを守っている、というのは、本当に秀逸な設計だと思いました。



